作:レオ=レオ二 訳:谷川俊太郎 出版:好学社
色の変化するカメレオン。
じゃあ、自分の本当の色って何色だろう?
カメレオンは、本当の自分を探し求めます。
あらすじ
オウムは緑。
金魚は赤い。
動物にはそれぞれ自分の色がある。
でも、カメレオンにはそれがない。
行く先々で色が変わる。
レモンの上では黄色。
トラの上ではしま模様。
ある日、一匹のカメレオンが考えた。
ずっと葉っぱの上にいれば、いつまでも体は緑色。
そうすれば、自分の色を持てるはずだと。
カメレオンは、さっそく緑の葉っぱによじ登り、体は緑色になった。
けれど、秋が来て葉っぱが黄色くなると、カメレオンの体も黄色に変わってしまった。
さらに秋が深まり、葉っぱが赤くなると、カメレオンも赤色に。
そして、最後は、葉が風に飛ばされて落ちるのと一緒に、カメレオンも吹き飛ばされて地面に落ちた。
長い冬の夜、カメレオンの体は真っ黒だった。
けれど、春が来て、カメレオンが緑の草へ歩み出た時、別のカメレオンに出会った。
出会ったカメレオンに、彼は「自分だけの色を探しているが見つからない」という話をした。
すると、年上の賢いカメレオンは、自分だけの色にはなれないことを認めたうえで、「一緒にいてみないか」と提案してきた。
行く先々で体の色は同じだけれど、きみとぼくはいつも同じだからと。
そこで、2匹は一緒に暮らした。
一緒に暮らす中で、カメレオンが見つけたものは・・・。
『じぶんだけのいろ』の素敵なところ
- 深く考えるほどにこんがらがってくる、カメレオンの本当の色
- ずっと同じであり続けることのない自然の世界
- 自分だけの色が本当にある場所は・・・
深く考えるほどにこんがらがってくる、カメレオンの本当の色
この絵本のとてもおもしろいところは、普段当たり前だと思っているカメレオンの色の変化が、当たり前ではないことに気づかせてくれるところでしょう。
深く考えなければ素通りしてしまうこの問い。
ですが、焦点を当て、深く考えてみると、考えるほどにこんがらがってくるのです。
「普段は緑だから、それが本当の色じゃない?」
「でも、木の上で過ごしてたらずっと茶色だよ」
「じゃあ、茶色が普通の色?」
と、「本当の色とはなんなのか?」という、哲学的な問いへ展開していくのです。
この、答えの出ない、全部正解のような、全部違うような、いくら考えても堂々巡りする問いを真剣に考えるのがとても楽しい時間となっています。
同時にこれが、自分たちにも当てはまるのもおもしろい。
服装を変えたら?
髪形を変えたら?
顔を変えたら?
それは本当の自分じゃないのだろうか?
そんなことも、カメレオンの「本当の色」からは感じ取れます。
そう考えると、カメレオンの「自分だけの色」を求める問いは、他人ごとではなくなってくることでしょう。
この、常に変化し続けるものの中の「本当」について、カメレオンの色を通して、深く深く考えさせてくれるのが、この絵本のとても素敵でおもしろいところです。
ずっと同じであり続けることのない自然の世界
そんな「自分だけの色」を探すカメレオンは、あることを考えます。
それが、ずっと同じ場所にいれば、その色が「自分だけの色」になるのではないかということです。
そこで、緑の葉っぱの上によじ登りますが、季節の変化によって無情にも色は変わり、カメレオンの色も変わってしまいます。
そこには、自然が常に変化していることを、直感的に感じさせ、ずっと同じものなどないことを突き付けられます。
ですが、ここでこう考える子もいるでしょう。
「ずっと土の上にいればいいのに」
「草の中だったらずっと緑じゃない?」
と。
でも、これもこの絵本のとてもおもしろいきっかけづくりとなっているのがすごいところ。
絵本の中では、変化がしっかりとしている葉っぱでしたが、ここで土や草など、一見ずっと同じものに目を向け、じっくり考えてみると、実は変化していることに気づきます。
土は「湿っている時と乾いている時で、本当に色は一緒なのか?」
草なら「春と秋で、本当に同じ緑色なのか?」
そういう目で、普段素通りしているものたちを見てみると、実は変化し続けていることに気づかされることでしょう。
こうして、葉っぱから自然全体へ視点が移り、常に変化し続けていることに気づくきっかけをくれるのです。
この、色を通して、自然が常に変化し続けていることに気づかせてくれるのも、この絵本のとても素敵なところとなっています。
自分だけの色が本当にある場所は・・・
さて、こうして「色」という観点で「自分だけ」を探してきたカメレオン。
ですが、最後の場面で新たな考え方に出会います。
それが、「どんな色でも自分は自分」というもの。
そのきっかけは別のカメレオンとの出会いでした。
これまで色にこだわっていましたが、「自分だけ」がある場所は色の中ではないのかもしれない。
そんなことを思わせてくれる最後の場面となっています。
きっと、この2匹の姿は、物語を通して「自分だけってなんだろう?」と考えてきた子どもたちにも、一つの光となってくれていることでしょう。
この、新しい出会いがきっかけで、本当の「自分だけの色」がある場所に、気づかせてくれるところも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
カメレオンの色の変化を通して、変化し続ける世界の中で「自分だけの色」ってなんだろうと考えるきっかけをくれる。
答えのない問いを深く考え、自分なりの答えを見つける楽しさや充実感を味わえる絵本です。
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