作:あさのあつこ 絵:加藤休ミ 編:東雅夫 出版:岩崎書店
昔、「なんでも食べてえらいね」と言われたことはあるでしょうか。
でも、本当に「なんでも」食べることはいいことなのでしょうか。
それが食べてはいけないものであったとしても。
あらすじ
ぼくは食べるのが大好きで、なんでも食べる。
ママもパパもそんなぼくのことを褒めてくれる。
ある日、大きな犬が吠えてきた。
うるさいから食べてしまった。
太り過ぎだと友だちが笑った。
そんな友だちも食べてしまった。
先生たちが怖い顔で走ってきた。
怒られるのは嫌だから、先生をみんな食べてしまった。
パトカーの音がして、おまわりさんが追いかけてきた。
パトカーもおまわりさんも食べてしまった。
一体、どこまで食べ続けるのでしょうか。
『いただきます。ごちそうさま。』の素敵なところ
- よく言われる言葉を使った怪談話
- 食べる描写がかなり怖くて不気味
- 衝撃的すぎる最後
「なんでも食べなさい」「何でも食べて偉いね」という、よく使われるセリフ。
でも、よくよく考えてみると「なんでも」というのは「食べてはいけないものも」というニュアンスがあることにも気づきます。
そんなところから展開される物語は、自分の延長線上として見てしまいます。
だからこそ、身近でリアルな怖さや不気味さを感じます。
また、そのリアルさを増幅させているのが、食べる描写です。
キャラクターはデフォルメされているものの、犬や人を食べていく様はかなり直接的に描かれています。
この絵本の視覚的な不気味さはかなりのものです。
ここまででもかなり衝撃的で怖いのですが、最後の場面でさらに背筋が凍り付きます。
怖さと不気味さが凝縮された絵本です。
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