【絵本】かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり(3歳~)

絵本

作・絵:田中友佳子 出版:徳間書店

あるところに、1匹のカッパが暮らしていました。

けれど、日照り続きで食べるものもありません。

そんな時、目の前に大きなキュウリを運ぶ老人を見つけたので、

追いかけていくと・・・。

あらすじ

あるところに、カッパの子どもであるかっぺいが住んでいました。

しかし、今年の夏は日照りが続き、水も枯れ、食べるものもなくなっていました。

腹をすかせたかっぺいが、キュウリをおなか一杯食べたいと考えていると・・・

大きなキュウリを荷車に乗せたおじいさんが、目の前を通り過ぎて行ったではありませんか。

かっぺいは、すぐにそのおじいさんを追いかけていきました。

追いかけていくと、曲がり角からキュウリのお尻が見えています。

さっそく、かっぺいは駆け寄りかぶりついたのですが・・・

それはサボテンでした。

かっぺいはがっかりしましたが、少し先にまたキュウリのお尻が見えます。

また、かっぺいがキュウリにかぶりつくと・・・

それは大きなワニでした。

ワニは怒りましたが、日照り続きで追いかける元気はない様子。

かっぺいは気を取り直して、また歩き出しました。

そしてまた、キュウリを見つけかぶりつきます。

ところがそれは、ティラノサウルスのしっぽ。

驚いたティラノサウルスが、しっぽを振りまわしたので、かっぺいは空高く跳ね飛ばされてしまいました。

跳ばされたかっぺいは、雲の上からのびる太いつるのようなものに引っかかりました。

上を見上げると、なにやら緑色の実がなっています。

かっぺいは、その実を目指してつるを登てみることにしたのでした。

いったいここはどこなのでしょう?

かっぺいは、無事キュウリへとたどり着けるのでしょうか?

『かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり』の素敵なところ

  • 巨大キュウリを求めるワクワクの長い旅
  • キュウリだと思ってかぶりついたら・・・
  • お腹だけじゃなく日照りも解決!?

巨大キュウリを求めるワクワクの長い旅

この絵本の一番ワクワクするところは、巨大キュウリを追いかける長い旅路でしょう。

偶然おじいさんが運ぶキュウリを見つけたかっぺいが、それを追いかけ、様々な出来事に遭遇します。

この出来事に関しては、次の項でお話ししましょう。

そんな出来事を乗り越え、岩場を越え、砂地を越え、キュウリを追いかけどんどん進んでいくかっぺい。

最終的には、雲の上までたどり着いてしまいます。

このキュウリを追いかけているとは思えない、奇想天外な道のりがこの絵本のとてもおもしろいところ。

雲の上に伸びるつるを見て、

「え!?こんなところにキュウリ!?」

「どうなってるの!?」

と、まさかの展開に驚く子どもたち。

完全に普通のキュウリだと思っていたのに、一気に不思議さが増していきます。

この、長く壮大で、予想もつかないかっぺいの旅に、驚きとワクワクが止まらないのも、この絵本の素敵なところです。

キュウリだと思ってかぶりついたら・・・

こうして、長い旅をしていくかっぺいですが、道中で様々な出来事に出会います。

そのどれもが、キュウリにかぶりつこうとして起こるのが、この絵本のとてもおもしろいところ。

キュウリっぽいものを見たかっぺいが、そのキュウリにかぶりつこうとして、ページをめくると全然違うものだった・・・

という繰り返しで進んでいきます。

しかも、だんだんとスケールが大きくなり、最終的に登場するのがティラノサウルス!

「ティラノサウルス!?」

「恐竜もいるの!?」

と、子どもたちも度肝を抜かれます。

この、次に進むごとにスケールと危険度が大きくなり、物語が進むほどハラハラドキドキさせられる、キュウリにかぶりつく場面も、この絵本のとても盛り上がるところです。

お腹だけじゃなく日照りも解決!?

さて、こうして空までたどり着いたかっぺいですが、そこでキュウリの真実を知ることになります。

あんなに巨大なキュウリを運んでいたおじいさんの正体も。

もちろんそこで、キュウリをおなか一杯食べてもハッピーエンドなのですが、それだけでは終わらないのがこの絵本の素敵なところ。

ある出来事がきっかけで、日照りもしっかりと解決してくれるのです。

その出来事が、キュウリの持つ特徴を見事に活かしたものになっていて、なおさら素敵。

キュウリのみずみずしさが、物語のギミックとしてきれいに機能しています。

ただ、それが偶然の出来事で、みんなを救おうとしたわけではありません。

本人は、キュウリを食べたかっただけというのも、実にかっぺいらしいなぁと思います。

この、偶然ではありながら、物語の根本的な問題もしっかりと解決し、すっきり大満足で終わる結末も、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

キュウリだと思ってかぶりついたら、違うものだったという繰り返しが、ハラハラドキドキでおもしろい。

雲の上に行ったり、ティラノサウルスまで出てきたりと、予想外の壮大さにワクワクが止まらないカッパ絵本です。

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