【絵本】きのいいサンタ(4歳~)

絵本

作・絵:さとうわきこ 出版:金の星社

サンタさんが街へプレゼント配りに出かけます。

けれど、そこで見つけたのは、捨てられた動物やおもちゃたち。

そんなものたちを見つけるたびに、全部拾ってしまう、気のいいサンタのお話です。

あらすじ

クリスマスイブの夜。

サンタさんの家では、プレゼントを配りに行く準備が進められていました。

おばあさんに見送られ、そりに乗って出発するサンタさん。

すごい速さで空を駆けていきますが、途中で捨て猫を見つけました。

サンタさんは、捨て猫をかわいそうに思い、家へ連れて帰ることに。

優しくそりに乗せました。

少し行くと、今度は捨て犬を見つけました。

サンタさんは、捨て犬も家に連れて帰ることにしました。

いよいよ街が見えてきたと思ったら、アヒルが捨てられていたので、アヒルも連れて帰ることに。

ひとまず、動物たちを待たせて、プレゼントを配るため煙突の中へ入ります。

プレゼントを置いて出てきたサンタさんでしたが、手にはおもちゃが。

それは、家のごみ箱に捨てられていたおもちゃでした。

サンタさんは修理するために、そのおもちゃもそりに乗せました。

その後も、プレゼント配りをする途中、おもちゃや楽器、動物たちを次々に見つけ、みんな拾っていくサンタさん。

日付が変わる真夜中には、オバケまで拾います。

そりの上は、プレゼントがなくなったのにぎゅうぎゅうです。

しかし、その後も次々拾っていくサンタさん。

カモメ、シロクマ、アシカ、ペンギン、タコに鬼の子・・・。

ほかにもたくさんの寂しい動物たちを拾っていったところ、もうそりに乗り切れません。

そこで、捨てられたバスをそりに繋ぎ、その中に入りきらない動物たちを乗せることに。

トナカイに頑張ってもらい、何とか陸路で家へと帰り着いたのでした。

こうして、サンタさんの家の扉を開けた動物たち。

その家の中には予想もしなかった光景が広がっていたのでした。

『きのいいサンタ』の素敵なところ

  • なんでも拾ってしまう気のいいサンタ
  • 動きのあるコマ割りで描かれる漫画風絵本
  • 予想外すぎるサンタさんの家の中

なんでも拾ってしまう気のいいサンタ

この絵本のなによりおもしろいところは、見つけたものはなんでも拾ってしまう気のいいサンタさんの姿でしょう。

最初から、捨て猫や捨て犬を拾っていきますが、このあたりでは、

「かわいそうだね」

「優しいね」

と、サンタさんに共感する子どもたち。

おもちゃを拾って出てくるときも、サンタさんが去年あげたものが捨てられていたということで、「えー、もったいない!」と理解を示し共感してくれます。

ですが、段々と加速していくサンタさんの拾いもの。

コマが進むたび、違うものを拾っているサンタさんに、

「また落ちてたの!?」

「ニワトリに、ネコに、ヒヨコに、リスもいる!」

「オバケも拾っちゃうの!?」

と、子どもたちも驚き始めます。

そこからさらに加速して、1ページの中で、一コマ一匹の勢いで拾っていくサンタさん。

こうなってくると、

「いっぱいすぎー!!!」

「全部拾っちゃうの!?」

「おうち入れないんじゃない?」

と、子どもたちも笑うしかありません。

この最初は丁寧に拾っていたところから、加速度的にすごい量の捨てられたものを拾っていく、物量感とスピード感が、この絵本のとてもおもしろいところです。

きっと、気のよさを限界突破した気のいいサンタさんの姿に、優しい気持ちと笑いがこみあげてくることでしょう。

動きのあるコマ割りで描かれる漫画風絵本

こうして、どんどん拾ってくるサンタさん。

ただ、このおもしろさは、この絵本ならではの描き方がされているからだと思います。

その描き方とは、漫画のようなコマ割り。

この絵本では、ほとんどのページが、漫画のような細かいコマ割りで描かれ、1ページの中にたくさんの動きが表現されているのです。

これが、この絵本のたくさんのものを拾うスピード感・物量感と見事にマッチしています。

一コマ進むごとに、違う動物を拾っているサンタさん。

一コマごとに、違う動物が「連れてって」と言ってきて、1ページで7匹拾うサンタさん。

このスピード感とどんどん増えていく物量感は、コマ割りだからこそおもしろいものでしょう。

子どもたちも、コマが進むたび次々出てくる動物に合わせて、「えー!?」と声を合わせて驚く遊びが生まれるほど、盛り上がっていたので、とても効果的だったのでしょう。

この、物語のおもしろさが、120%伝わってくるコマ割りという漫画風の描き方も、この絵本のとても特徴的で盛り上がるところです。

予想外すぎるサンタさんの家の中

さて、こうしてそりに乗りきらないほどのものを拾ってきたサンタさん。

やっとのことで家に着き、その中に入ると、この絵本で一番の驚きが待っていました。

これだけのものを拾ってくるだけでも驚きなのに、まさか最後にそれを上回ってくるとは・・・。

これには、子どもたちも心底驚いているようでした。

ただ、一応その伏線は張られており、それが、「こねこのいるとこぐらいあるさ」というサンタさんのセリフと、「またかい!いい加減にしておくれ」というおばあさんのセリフ。

この最後の場面を見ると、それらの言葉の本当の意味がわかります。

きっと、気がいいのは今年だけの特別なことではなく、毎年のことなのでしょう。

サンタさんの家の中からは、そんなことがひしひしと感じられます。

この、眺めているだけでおもしろいほど賑やかな、サンタさんの予想以上の気のよさが伝わってくる家の中の秘密も、この絵本のとても楽しく素敵なところです。

ぜひ、見どころ満載なサンタさんの家の中を、自分の目で確かめてみてください。

色々な発見のある楽しい家になっていますよ。

二言まとめ

捨てられたものはなんでも拾ってきてしまう気のいいサンタの拾いっぷりに、驚きと笑いがこみあげてくる。

コマ割りで表現された、どんどん拾うスピード感と物量感が加速度的に増していくおもしろさがたまらない、クリスマス絵本です。

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