作:矢野アケミ 出版:アリス館
動物たちが乗っているバス。
出発しようとしたところ、泥がかかってしまい前が見えません。
そんな時は・・・ぞうきんの出番です!
あらすじ
赤いバスが、バス停に停まっていました。
これから発車するところです。
けれど、ちょうどその時走ってきた車が水たまりを通り・・・
跳ね飛ばされた泥が、バスにばしゃーん!
バスの窓が泥だらけになってしまいました。
これでは、前も見えず発車できません。
こんな時は、ぞうきんで拭き掃除です。
まずは一番後ろの席の窓。
ぞうきんできれいに拭いていくと・・・
座っていたのはウサギさん。
窓がきれいになってにっこりです。
次は、ウサギさんの前の席。
窓をぞうきんできれいに拭くと・・・
座っていたのはキツネさん。
窓がきれいになってにっこりです。
その次は、キツネさんの前の席。
ぞうきんできれいに拭くと・・・
座っていたのはネズミさん。
でも、鼻のあたりに汚れがまだ残っていました。
仕上げに拭くと、ネズミさんもにっこり。
最後は一番前の席です。
大きな窓をぞうきんできれいに拭くと・・・。
バスを全部きれいにして、出発することはできるのでしょうか?
『ふきふきぱっ!』の素敵なところ
- 体験型の窓拭き遊びが楽しい
- 泥に隠れた動物クイズのようなおもしろさ
- 一緒に言いたくなる決まり文句の繰り返し
体験型の窓拭き遊びが楽しい
この絵本のなにより楽しいところは、ぞうきんで汚れた窓を拭いていく遊びでしょう。
この絵本では、自分で窓を拭けるよう、窓を拭く人物が描かれていません。
ぞうきんだけが描かれて、窓を拭いていくのです。
こうなると、自然に自分の手がぞうきんの上へ。
そして、気付けば「ふきふき ふっふ ふきふき はっは きゅっきゅのきゅーの」という合言葉に合わせて、手で拭き拭きしてしまうことでしょう。
そこでページをめくれば、窓がピッカピカに。
この、自分で本当に拭いているような感覚になれる窓拭き遊びが、この絵本のとても楽しいところです。
泥に隠れた動物クイズのようなおもしろさ
こうして、窓を拭いてきれいにするのですが、一発できれいになるわけではありません。
ぞうきんで拭き始めた時は、まだ一部しか窓の中が見えないのです。
けれど、その一部からのぞく、動物たちの特徴的な部分が動物クイズのようになっていておもしろいのも、この絵本の特徴です。
ウサギなら長い耳が、キツネならキツネ色の頭が、ネズミなら大きな耳が見えているのです。
これには子どもたちも、
「ウサギさん!」
「にゃーにゃーかな?」
「ネズミさんだー!」
と、大盛り上がり。
このクイズ形式が、シンプルに子どもの心を鷲掴みに、目を釘付けにしてくれます。
また、窓がきれいになって動物の顔が出てきたときには、
「ウサギさん出てきた!」
「キツネさんか~」
「ネズミさん、お鼻汚れてるよ~w」
と、これまた大盛り上がり。
いないいないばあのような、楽しさがあります。
この、窓を拭くにつれ誰が座っているかわかってくる、動物クイズ形式の構成もこの絵本のとても楽しく、子どもたちを夢中にさせるところです。
一緒に言いたくなる決まり文句の繰り返し
さて、こんな風に、窓を拭くのも、動物が出てくるのもおもしろいこの絵本。
そのおもしろさをさらに盛り上げてくれているのが、2つの決まり文句です。
それが、窓を拭いている時の「ふきふき ふっふ ふきふき はっは きゅっきゅのきゅーのぱっ!」と、
拭き終わった時の「まど ピッカリで にっこりこ!」という言葉。
基本的に、この2つの繰り返しで、物語は進んでいきます。
そして、どちらも聞いていると、一緒に言いたくなってくるのです。
特に「きゅっきゅのきゅーのぱっ!」と、「にっこりこ!」。
しゃべれる子は、そのまままねっこ。
しゃべれない子も、「きゅーの!」と最後だけ合わせたり、「にっこりこ!」に合わせて笑顔を作ったり、自分なりのやり方で合わせるなど、一緒にやりたくなるみたい。
繰り返しなので、場面が進むたびに、一緒にやる子が増えていきます。
この、一緒に言いたくなる、なにか反応を返したくなる、楽しい決まり文句の繰り返しも、この絵本のとてもおもしろいところです。
ぜひ、子どもたちと声を合わせる楽しさを、この絵本で味わってみてください。
きっと、動物と一緒に、子どもたちのかわいい「にっこりこ!」も見られると思いますよ。
二言まとめ
一人称視点で描かれることで、実際に手を動かして一緒に窓を拭きたくなる。
窓がきれいになる気持ちよさと、そこから動物が顔を出すクイズのようなおもしろさが味わえるお掃除絵本です。
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