【絵本】やぎのめーどん(3歳~)

絵本

作:たかくあけみ 出版:福音館書店

ヤギのめーどんと子どもが山を歩きます。

そこでは、山の自然や温かいヤギとの触れ合いがたくさん。

のんびりゆったり時間が過ぎていく絵本です。

あらすじ

ある朝、子どもがヤギのめーどんを、山への散歩に誘いました。

めーどんは、小屋を出ると嬉しそう。

出発してすぐに、山ブドウをを食べ始めるめーどん。

1房の山ブドウを口にくわえたまま、歩きだします。

のどが渇いためーどんは、木陰にたまった水を飲み、日向でどっかり一休み。

子どもはそのぽかぽかの背中で一休み。

しばらく行くと、海が見え、2人で一緒に眺めます。

お次はシダの林です。

おいしいシダにめーどんはうっとり。

子どもも少し食べてみます。

ふと気が付くと、周りに誰かがいるみたい。

こっそりと森の動物たちが遊びに来たようです。

子どもはめーどんにひそひそ話。

めーどんのおちちを、みんなに振る舞うことにしたみたい。

「みんな入れ物もっといで」

と声をかけると、葉っぱの入れ物を持ってくる動物たち。

子どもはおちちを絞って、葉っぱの入れ物に注いであげました。

おちちを飲んで体がほかほかしてきたみんなは、めーどんの周りで踊ります。

さて、そろそろ日も暮れてきたので、めーどんと子どもは帰ることに。

みんなに森のみんなに別れを告げ、お日様に感謝を告げ、めーどんと子どもの1日はゆっくりと楽しく終わりました。

『やぎのめーどん』の素敵なところ

  • 自然豊かな山でのゆったりとした1日
  • 一緒に言いたくなるめーどんの決まり文句
  • 森に溶け込むたくさんの生き物たち

自然豊かな山でのゆったりとした1日

この絵本のとても素敵なところは、子どもとめーどんのゆったりとした1日を一緒に過ごせることでしょう。

朝起きて、山に入っていっためーどんと、子どもはそこで日が暮れるまで過ごします。

そこでなにをするかはめーどんや成り行き次第。

めーどんが何かを食べ始めればそこで歩みを止めるし、一休みし始めれば一緒に一休みをします。

まさに「ゆったりのんびり」という言葉がぴったりな時間です。

これがなんとも心地いい。

めーどんのふわっとした温かそうな体と、細い目も相まって、なおさらのんびりとした時間が流れます。

まるで、草を食んでいるヤギや牛をぼーっと見ているような感覚でしょうか。

これがなんとも心地よいのです。

その心地よさの中に、豊かな自然の恵みが合わさり、なんとも贅沢な時間になっており、とてもうらやましく感じます。

あたり一面の山ブドウやシダ、冷たさと清らかさが伝わってくる水場、見ているだけでぽかぽかしてくる、日差しと背中の温かさ。

こんなにも贅沢な時間があるでしょうか?

この、めーどんと男の子のゆったりとした1日を通して、一緒にこの贅沢な1日を過ごしている気持ちになれるのが、この絵本のとても素敵なところ。

きっと、読み終わった後、とても穏やかで満たされた気持ちになると思いますよ。

一緒に言いたくなるめーどんの決まり文句

そんなヤギが主役のこの絵本ですが、もう1つ特徴的なところがあります。

それが、

「めーどん めーどん めーめーどん」

という、めーどんに語りかける時の決まり文句です。

この絵本の文章は、とてもリズミカルなものになっていて、その中でめーどんを呼ぶときはこの繰り返しか、「おやよう めーどん めーめーどん やまに いこうよ めーめーどん」というような、決まり文句の変形になっています。

どちらもキーワードは「めーめーどん」。

これがなんとも心地いい耳触りと、言いたくなる語感となっているのです。

何度も聞いているうち子どもたちも、一緒に合わせたり「めーめーどん」とこちらが言うと、「めーめー!」「めーめーどん!」と繰り返して言うように。

自然と口をついて「めーめーどん」という言葉が出てくるのでした。

この、言葉を聞いているだけでも楽しくて心地よい「めーめーどん」の繰り返しも、この絵本のとても素敵で楽しいところとなっています。

ぜひ、読んでいる人もとても心地よい気分になれる絵本なので、自分の声で読んでみてください。

楽しくて何度も読みたくなると思いますよ。

森に溶け込むたくさんの生き物たち

さて、そんなゆったりとした1日の中で、めーどんと子どもは、森の生き物たちと触れ合います。

ここでの生き物たちの、背景に溶け込むような描かれ方も、この絵本のおもしろいところとなっています。

めーどんと子どもがとてもくっきりとリアルに描かれるのに対し、生き物たちはとても抽象的かつ、色味が薄く描かれます。

そのため、じっくり見ないとどんな生き物がいるのかわかりません。

けれど、じっくり見るとぱっと見で見つからなかった生き物たちがどんどん見つかるのです。

特におちちを飲んでいる場面は、森の草木に紛れて飲んでいるので、本当によく見ないとわからない。

だからこそ、見つけた時に大発見をした気分になるのでしょう。

「ここにカエルがいるよ!」

「これ葉っぱかと思ったらキツネだ!」

「リスも隠れてない!?」

など、見つけるたびに大興奮の子どもたちなのでした。

また、こっそり普通の生き物ではなさそうなものが紛れているのもおもしろいところ。

Tシャツを着た生き物や葉っぱの妖精みたいなものもいて、そういう発見もこの絵本には隠れています。

この、見つけにくいけれど、実はページいっぱいに隠れている生き物たちを、じっくりと探す楽しさも、この絵本のとてもおもしろいところです。

森の生き物たちに気付くページ、おちちを振る舞うページ、めーどんの周りを踊るページ、お別れをするページ、それぞれでたくさんの生き物が見つかるので、ぜひ探してみてください。

二言まとめ

ヤギと子どもの、自然豊かな山で過ごすゆったりとした1日を、絵本を通して一緒に過ごすことで、のんびりと満たされた気持ちになれる。

「めーめーどん」のリズミカルな文章で、読むのも聞くのも、とても心地のいい絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました