【絵本】ちょっとだけまいご(3歳~)

絵本

作:クリス・ホートン 訳:木坂涼 出版:BL出版

迷子になってしまったフクロウの子ども。

リスの助けを借りて、ママを探します。

子フクロウは、一生懸命ママの特徴を伝えますが・・・。

あらすじ

ある森の高い木の上で、フクロウの親子が眠っていました。

けれど、フクロウの子どもがバランスを崩し、木から落ちてしまいます。

ママフクロウは、眠っていて気付いていない様子です。

子フクロウが困っていると、落ちてきたところを見かけたリスが声をかけてきました。

リスは、一緒にママを探してくれるとのこと。

さっそく、リスは、子フクロウにママの特徴を聞きました。

子フクロウは、リスにすごく大きいことを伝えました。

それを聞いた途端、わかったとリスは駆け出していきました。

そして、たどり着いたのは・・・クマのところでした。

もちろん、子フクロウは違うと言い、耳がとがっていることをリスに伝えました。

それを聞いたリスは、またすぐに駆け出しました。

着いたところにいたのはウサギ。

子フクロウはやっぱり違うと言い、目が大きいことも伝えました。

すると、またまたリスは駆け出し、カエルのところに連れてきました。

子フクロウは、違うと言い、全然ママが見つからないことに、泣き出しそうになってしまいました。

と、その時、カエルが声をかけてきました。

なんと、ママが子フクロウを探しているのを見かけたというのです。

すぐにカエルについていくと、そこには・・・。

子フクロウは無事に、家へ帰りつけるのでしょうか?

『ちょっとだけまいご』の素敵なところ

  • 親切だけど、とても早とちりなリス
  • じらされたからこそ、よりうれしい再会
  • 最後の最後に・・・

親切だけど、とても早とちりなリス

この絵本の大きな見どころは、リスと一緒にママを探す場面でしょう。

迷子になってすぐに、手を差し伸べてくれる気のいいリス。

子フクロウにとって、これほど心強いことはなかったでしょう。

そのおかげで、迷子になった後も泣いたりせず、ママを探しに行けたのだと思います。

けれど、とんとん拍子に進まないのが、この絵本のおもしろいところ。

とても気のいいリスですが、同時にとても早とちりだったのです。

子フクロウにママの特徴を聞くと、すぐに早合点。

「大きい」「耳がとがっている」など、1つの特徴だけで、色々な動物のもとへ自信満々に連れていくのです。

この絶対違うところに連れて行こうとしているのがわかる繰り返しが、この絵本のとてもおもしろいところ。

子どもたちも、

「本当に大丈夫?」

「絶対勘違いしてる気がする・・・」

と、不安そう。

そして、その不安は見事に的中し、「やっぱり~」となるのです。

ただ、これがまるでコントのようでおもしろい。

「ママを早く見つけてあげないと・・・」という気持ちと同時に、次はどこに連れていくのか見てみたいワクワク感と、「それ、絶対ママじゃないじゃん!」とツッコミたい気持ちが共存します。

この、「絶対それじゃない」ママのところへ連れていく、リスが早とちりする繰り返しが、この絵本のとてもおもしろいところです。

じらされたからこそ、よりうれしい再会

こうして、何度も違うママのところに連れていかれる子フクロウ。

ただ、なかなか会えなかったからこそ、会えた時の嬉しさはひとしおです。

何度も違うママのところに連れてこられ、ついに泣き出しそうになる子フクロウ。

ですが、ついにカエルから有力な手掛かりが得られます。

こうして、子フクロウもリスも子どもたちも、今度こそと希望を抱いて、カエルの言う場所へ。

ここでの嬉しさは、これまで苦労してママを探してきた過程があるからこそとても強いものになるのでしょう。

カエルについていき、ページをめくった瞬間の、子フクロウと子どもたちのシンクロ具合がとても印象的な場面でした。

この、苦労の末に、これまでと同じ繰り返しの流れで再会するという演出も、この絵本のとてもにくいところです。

最後の最後に・・・

さて、こうして無事に再会できた子フクロウ。

このままめでたしめでたしかと思いきや、そのまま終わらないのも、この絵本のとてもおもしろいところです。

絵本の最後の最後で、この絵本の一番最初に見た光景が・・・。

これには子どもたちも、

「ちょっとちょっと!」

「そこで寝ちゃダメー!」

と、大慌て。

大慌ての中、絵本が終わるのが、とても楽しくおもしろい。

しかも、絵本を閉じた裏表紙には、「もしかして続いているのかも」と思える絵が。

これは、実際のところはどうなのかわかりませんが、子どもたちに絵本が終わった後の展開を、色々想像させてくれる素敵な仕掛けになっていると思っています。

この、さんざん苦労して、なんとか迷子が解決したのに、まさに振り出しに戻るような、最後の場面のドタバタ感も、この絵本のとても楽しいところです。

きっと、子フクロウの「おっ おー!」という、決め台詞(?)が耳に残ることでしょう。

二言まとめ

迷子の子フクロウと、早とちりのリスという、でこぼこコンビによるコントのようなママ探しがおもしろい。

大慌てな最後の結末に、思わず子フクロウをキャッチしに行きたくなる、迷子絵本です。

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