【絵本】カタツムリと鯨(4歳~)

絵本

文:ジュリア・ドナルドソン 絵:アクセル・シェフラー 訳:柳瀬尚紀 出版:評論社

世界を見て回りたいカタツムリがクジラと出会った。

クジラのしっぽに乗せてもらい、ついに海の上へ。

小さなカタツムリの大航海が始まります。

あらすじ

とても小さなカタツムリは、毎日港で船を見て、自分も航海したいと思っていました。

港の岩にはカタツムリがたくさんいて、みんなじっとしていますが、このカタツムリだけは別。

動きたくてウズウズしていたのです。

そこで、カタツムリは、自分の足跡で岩に字を書き始めました。

「のっけてください せかいいっしゅう」

と。

そこへある晩やってきたのは、なんと大きなクジラ。

クジラは尾の先にカタツムリを乗せてあげると、海へ向かって出発しました。

こうして広大な海に出たクジラとカタツムリ。

氷山に、南国の火山、大波やサメや洞窟など、様々な場所を見て回りました。

そんなある日、海の様子がなにやらいつもと違います。

人間たちがたくさんいて、モーターボートで楽しそうに遊んでいるのです。

その大きなモーター音に追われ、気付けば岸に。

カタツムリが大慌てで海へ戻るよう言いましたが、時すでに遅し。

潮が引いて、クジラは完全に打ちあげられてしまいました。

このままではクジラが死んでしまいます。

それを見て、小さなカタツムリはクジラを守るという決意を固めある場所へ向かいます。

いったいカタツムリはなにをしようというのでしょうか?

果たして、クジラは無事に海へ帰ることができるのでしょうか?

『カタツムリと鯨』の素敵なところ

  • 小さなカタツムリと大きなクジラの壮大な世界旅行
  • 歌うようなラップのようなリズミカルで楽しい文章
  • 絶体絶命のピンチに立ち上がるカタツムリのかっこよさ

小さなカタツムリと大きなクジラの壮大な世界旅行

この絵本のなによりおもしろいところは、小さなカタツムリが大きなクジラの尾に乗って、世界中を旅行するところでしょう。

船を見ていたのに、乗せてくれたのがクジラという驚き。

大きさが違い過ぎるおもしろさ。

そんなコンビが見て回る世界。

もう、おもしろい要素しかありません。

そんな2人が見て回るのは、一緒に世界旅行をしている気分になれるような壮大な景色ばかり。

氷に覆われた氷山に、激しく火を吹く山、山のように大きな波に、美しいけれど怖いこともある神秘的な海の中の世界・・・。

もちろん、晴れ渡った広い空に、雷鳴とどろく嵐まで。

2人とともに、様々な海の表情を見ることができるのです。

子どもたちも、

「火山が噴火してる!」

「ここは平和だね~」

「落ちないように気を付けて!」

と、まさにともに旅をしている様子。

この、小さなカタツムリとともにクジラに乗って、広大な世界を見て回れるところがこの絵本のとても素敵で楽しいところです。

歌うようなラップのようなリズミカルで楽しい文章

そんな楽しいこの絵本ですが、実はもう1つ、特徴的で楽しいところがあります。

それがとてもリズミカルな文章です。

これが歌を歌っているような、でも、韻を踏む感じがラップのような、この絵本ならではなものになっているのです。

例えば、冒頭、

「このお話のカタツムリさんはとってもちっこい。鯨さんは大きな背中が丸っこい。海辺の岩はまっくろけの煤みたい。カタツムリさん足がむずむず歩きたい。」

というように、まるでラップのように韻を踏みます。

世界を見て回った感想なら、

「空も海も陸も脅威に溢れる。大波、洞窟、金砂に見とれる。目にする光景どれもこれもひたすら感嘆。「あたしちっこい」そうつぶやいてちっこく落胆」

と、韻を踏みつつ、歌うようなリズムで文章が綴られているのです。

これが最初から最後まで一貫しているからおもしろい。

歌うような、言葉遊びのような文章が、絵本全体に楽しい雰囲気を漂わせてくれています。

この雰囲気が、2人の壮大で楽しい旅のワクワク感とぴったり。

ただでさえ楽しい2人の旅を、より楽しく見ごたえのあるものにしてくれているのです。

この、リズミカルに韻を踏んだ特徴的な文章も、この絵本ならではのとても楽しくおもしろいところとなっています。

ぜひ、自分の口で声に出して読んでみてください。

きっと、その心地よさを存分に感じられると思いますよ。

絶体絶命のピンチに立ち上がるカタツムリのかっこよさ

さて、そんな2人の旅は、大ピンチに見舞われます。

なんと、クジラが浜辺に打ち上げられてしまうのです。

ですが、ここで活躍するのが小さなカタツムリ。

クジラを守るという決意とともに、ある行動に出るのです。

これには子どもたちも、

「こんなに小さいのにどうするんだろう・・・」

「助けれるのかな?」

と、不安げな表情。

それもそのはず。

これまで、ずっと引っ張ってくれていたのはクジラで、カタツムリは驚いたり、必死にしがみついていただけ。

こんな小さなカタツムリに、クジラを助けられるとは誰も思いません。

自分自身ですら、世界の広さを見て自分の小ささに落胆していたくらいなのですから。

けれど、大切な友だちのためには、そんなこと言っていられません。

体の小さなカタツムリは、知恵と勇気を振り絞り、自分にできる最大限のことをするのです。

この、体の大きさもその力も対等とは思えなかった2人が、クジラのピンチを通して対等の友だちになっていくところも、この絵本のとても素敵なところです。

最初の場面ではお客さんと運転手のように見えていた2人の雰囲気や関係性が、最後の場面では全然違って見えていることでしょう。

二言まとめ

小さなカタツムリと大きなクジラという凸凹コンビの世界旅行が、壮大で厳しくも美しくておもしろい。

体が大きいからできること、小さいからできること、それぞれの力を合わせる大切さが詰め込まれた海の絵本です。

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