文:間宙地 絵:前田マリ 出版:福音館書店
船に乗ってみたくなったネコのとらきち。
さっそく、飛び乗るとたゆたう船でのんびり昼寝です。
でも、目を覚ますと船はなんと海の上!?
あらすじ
ネコのとらきちは、船を見つめていました。
船の上は気持ちよさそうだったからです。
そう思うととらきちは、さっそく船に飛び移り、ゆらゆら揺れる船で気持ちよさそうに昼寝をはじめました。
とらきちが目を覚ますと、そこは海の上。
とらきちが寝ている間に、船は海へ出ていたのです。
船ではおじいさんが魚を取るため、網を準備していました。
おじいさんが網を海へ投げ入れ、網を引き揚げると、そこにはたくさんの魚が取れました。
と、同時に、とらきちはおじいさんに見つかってしまいました。
とらきちが夢中で魚を見ていると、おじいさんは小さな魚を一匹持ってきてくれました。
その魚を食べ、お腹いっぱいでまた眠くなったとらきち。
目が覚めると・・・。
『とらきちのぼうけん』の素敵なところ
- とても平和で楽しい大冒険
- かっこよくて優しいおじいさん
- 小さな子にぴったりな物語絵本
とても平和で楽しい大冒険
この絵本のとても素敵なところは、ハラハラドキドキするけれど、どれも優しく楽しく解決されるところでしょう。
船に乗りたくなったとらきちは、迷いなく船へ飛び乗ります。
「あ!乗っちゃった!」
と、子どもたちはびっくり。
さらに、気付けば海の上にいてさらにびっくりです。
「帰れるかな」
「大丈夫かな?」
と、心配しますが、さらにおじいさんにも見つかってしまいます。
でも、大丈夫。
だって、嵐に巻き込まれることもないし、おじいさんも優しいのですから。
ハラハラドキドキはするものの、終わってみれば、船で昼寝をして、とれたての魚をもらって、お腹いっぱいになって帰ってくるという、なんとも幸せで楽しいもの。
「あーよかった!」
「楽しかったね~」
と、心底思えるものとなっています。
この、「どうなっちゃうんだろう」という冒険ならではのハラハラドキドキ感はありつつも、楽しく優しく解消されるとても平和な冒険が、小さい子も安心して見られる、この絵本のとても素敵なところです。
かっこよくて優しいおじいさん
そんな冒険の中で出会う人物がおじいさん。
このおじいさんの魅力も、この絵本に欠かせないものでしょう。
漁師のおじいさんは、大きな大きな網を投げ、大量の魚を引き揚げます。
その姿が力強くてかっこいい。
網を投げるおじいさんを見て、
「なにしてるんだろう?」
と、思っていた子どもたちも、網にかかった大量の魚を見て、
「すごい!」
「おさかなだ!」
「いっぱいいるよ!」
と、びっくり仰天。
まさに、とらきちと同じリアクションをしていたのでした。
しかも、かっこいいだけじゃありません。
忍び込んだとらきちを叱ったりすることもなく、気前よく魚をわけてくれるのです。
見つかって、ハラハラドキドキしていた分、この優しさが身に沁みます。
「優しいね!」
「おさかなくれたよ!」
「とらきちよかったね!」
と、心配も吹き飛び表情がほころびます。
この、かっこよくて優しいおじいさんの魅力も、この絵本の大きな魅力のひとつです。
小さな子にぴったりな物語絵本
さて、そんな平和で楽しい冒険絵本ですが、物語絵本を読み始めるのにぴったりな内容なのも素敵なところ。
小さい子が見やすい絵本として、繰り返しの絵本がありますが、この絵本には繰り返しがありません。
純粋に起承転結の物語絵本となっています。
けれど、難しいこともなく、内容はとてもシンプル。
さらに、題材もネコと船という、とても身近で想像しやすいもの。
これらが合わさり、物語を読んだ経験が少ない子でも、すんなりと物語の世界にいざなってくれるのです。
しかも、その中でしっかりと、ハラハラドキドキ感や、楽しさ、すっきり感が味わえます。
この、シンプルながら物語のおもしろさを存分に感じられる、物語絵本の読み始めにぴったりなものとなっているのも、この絵本の素敵でありがたいところです。
ぜひ、そろそろ物語絵本を読みたいと思ったころ、手に取ってみてください。
きっと、楽しい物語の世界に連れて行ってくれると思いますよ。
二言まとめ
とらきちの船に乗り、海に出て、魚をもらい、帰ってくるという、平和で楽しい冒険がおもしろい。
シンプルな内容と身近な題材で、物語絵本の読み始めにぴったりな絵本です。
コメント