作:長新太 出版:福音館書店
ある日、バスへたくさんのタコが乗ってきた。
運転手は驚いて逃げてしまい、バスは完全にタコのもの。
タコの足で歩いていく、世にも奇妙なバスが発車します!
あらすじ
海のそばを通るバスがありました。
ある日、海からたくさんのタコがバスに乗ってきました。
運転手は驚き、バスを置いて逃げていきます。
こうしてバスはタコのバスに。
タコのバスは、たくさんのタコが足で歩いて進みます。
つり橋で落ちそうになっても、足でぶら下がれるので大丈夫。
疲れたら一休みして、またスタスタと歩き出します。
しばらく行くと、前から大きなムカデ。
タコとムカデはケンカを始めます。
このケンカの結末やいかに!?
そして、タコのバスの終着点とは・・・?
『タコのバス』の素敵なところ
- 足で歩く不思議なタコのバス
- 危機はいっぱいあるけどゆる~く解決
- ちょっと気になるバスのその後
足で歩く不思議なタコのバス
この絵本のなによりおもしろいところは、たくさんのタコがバスを操ってしまうところでしょう。
しかも、使うのはタイヤではなくタコの足。
だって、普通は運転手が運転するのに、その運転手が逃げてしまうのですから。
これには子どもたちも、
「足で歩くの!?」
「運転しないんだ!?」
と、びっくり。
タイヤが浮いて、足で歩くという初めて見る光景に、驚きを隠せませんでした。
こうして歩いていくタコのバス。
足だからこそ、つり橋に掴まってロープウェイのようにできたりと、これが意外と便利です。
この、普通のバスでは考えられない動きができる、タコのバスのおもしろさが、この絵本のとても楽しいところです。
危機はいっぱいあるけどゆる~く解決
そんなタコのバスの旅は、楽しくも思ったより危険に満ちたものとなっていました。
つり橋で落ちそうになったり、巨大ムカデとケンカしたり・・・。
でも、タコのバスは、大ピンチだとまったく感じさせません。
つり橋では橋にぶら下がり「おっと あぶない ブーラブラ」。
ムカデとのケンカは「ムカデはこんなになりました」の一言で解決です。
こんな風に、さらっとゆる~く解決し、先へ先へと進んでいくのです。
子どもたちも、巨大ムカデ出てきた時は、
「おっきい!」
「壊されちゃうよ!」
「逃げて!」
と、圧倒的な大きさにハラハラドキドキしていましたが、ページをめくったとたんに表情が緩み、思わず大笑い。
だいぶ、結末が予想外だったみたいです。
この、ハラハラドキドキはさせつつも、すぐににっこりさせてくれる、ゆる~い軟体動物らしい
解決法も、この絵本の素敵で特徴的なところです。
ちょっと気になるバスのその後
さて、こうして紆余曲折はありつつも、終着点へ到着したバス。
それ自体は意外性のない、とてもタコのバスらしいものでした。
きっと、どこかに行きたかったわけでなく、バスに乗りたいだけだったのでしょう。
けれど、この結末を見ると、1つ気になることが出てきます。
最後にポツンと、タコも運転手もいなくなったバスが残されるのです。
いったいこのバスはどうするのだろう・・・?
子どもたちからも、
「あのバスどうするんだろう?」
「運転手さんが来て乗るんじゃない?」
「また、朝になったらタコが乗るんだよ!」
と、気になっているようで様々な意見が出てきます。
そう、残されたバスが、ものすごく気になるのです。
このタコにとって大満足だけれど、バスの視点に立つと「めでたしめでたし(?)」と疑問符がつく終わり方も、この絵本のとてもおもしろいところとなっています。
ぜひ、ちょっと哀愁漂うバスの行く末を想像してみてください。
二言まとめ
足で歩くバスという、世界に一台しかないタコのバスの、ゆる~い旅がおもしろい。
そのゆるさとは裏腹に、笑いと驚きが止まらない、全然予想のつかないナンセンス絵本です。
コメント