【絵本】ブロロンどろろん(2歳~)

絵本

作:高畠那生 出版:小学館

道を歩いていると、ペンキがバシャッ!

全身ペンキまみれになってしまいます。

でも、ペンキの跡を見てみると、ぜんぜん違う生き物みたい!?

あらすじ

ムキムキの男の人が、茶色い壁の前で力持ちなポーズを取っていました。

道には黄色いペンキが落ちていて、そこへ車が走ってきます。

車が通り過ぎると、ペンキがバシャー!

男の人は全身黄色いペンキだらけです。

でも、あれれ?壁についたペンキの跡は、まるでゴリラみたいに見えますよ。

ネコが黄色くて斑点模様の壁の前を歩いていました。

道には黄緑のペンキが落ちていて、そこへ車が走ってきます。

車が通り過ぎると、ペンキがバシャー!

ネコは全身黄緑のペンキだらけです。

でも、あれれ?壁についたペンキの跡は、まるでチーターみたいに見えますよ。

男の人が手押し車に荷物をたくさん積んで、水色の壁の前に立っています。

道にはピンクのペンキが落ちていて、そこへ車が走ってきます。

車が通り過ぎると、ペンキがバシャー!

男の人は荷物もろとも全身ピンクのペンキだらけです。

でも、あれれ?壁についたペンキの跡は、まるでゾウみたいに見えますよ。

フランスパンを持った女の人が、フェンスの前を歩いています。

道には紫のペンキが落ちていて、そこへ車が走ってきます。

車が通り過ぎると、ペンキがバシャー!

女の人は全身紫のペンキだらけです。

でも、あれれ?ペンキの跡が・・・。

一体何の形に見えるでしょう?

まだまだ、出てくるブロロンどろろん。

一体どんな形になるか、ぜひ当ててみてください。

おしまい!

『ブロロンどろろん』の素敵なところ

  • どうなるか予想できるけどおもしろいお約束なシチュエーション
  • 影絵遊びのような、本体とぜんぜん違うペンキの跡
  • 最後まで飽きさせない様々な変化球

どうなるか予想できるけどおもしろいお約束なシチュエーション

この絵本のまず心惹かれるところは、通行人、ペンキ、車から導き出される、お約束過ぎるシチュエーションでしょう。

もう、この3つが揃ったら、起こることはただ1つ。

バシャー!

しかありません。

しかも、

「車が走っています。道にはペンキがありますね。どうなるの?どうなるの?」

と、文章でも煽ってくるのですから、ハラハラドキドキしないわけにはいきません。

「ペンキ飛んでくるよ!」

「気づいてないの!?」

「あー!車来ちゃう!」

と、子どもたちも大慌て。

そして、ペンキがかかると、

「やっぱり~」

「見て!全部黄色になっちゃった!」

「変な顔~」

と、大爆笑。

お約束による鉄板の笑いを、子どもたちに届けてくれていました。

通行人がいて、ペンキがぶちまけられており、そこへ車が迫っている。

そこからのお約束を、「これでもか!」と盛大に見せ、笑わせてくれるのが、この絵本の誰もが大爆笑してしまうところです。

影絵遊びのような、本体とぜんぜん違うペンキの跡

でももちろん、それだけではこの絵本のおもしろさは終わりません。

むしろ、ペンキがかかってからが本番です。

壁の模様と通行人の形がうまく噛み合って、壁に飛び散ったペンキの跡が、ぜんぜん違う生き物に見えるのですから。

ムキムキの人であれば、壁が茶色に粗い毛のような模様がついていて、合わさるとゴリラのようなペンキの跡に。

ネコであれば、壁の背景模様と遠近法により、大きなチーターに見えるペンキの跡に。

荷物を運ぶ男の人であれば、荷物のパイプが長い鼻、テニスラケットの網が耳の穴になり、ゾウのようなペンキの跡に。

こんなふうに、ペンキの跡が本体とはまるで違う形になるから驚きです。

そのおもしろさはまるで影絵。

スクリーンの後ろを見た時に、「こうやって形を作っているのか!」と驚く感じに似ています。

この部分の楽しみ方が、子どもたちの年齢によって変わってくるのもおもしろいところ。

小さい子は、本体とぜんぜん違う形になるペンキの跡に驚き、

「ゴリラになった!」

「ゾウさんになったよ!」

「なんでだろう!?」

と、驚きつつ、本体と影を目を見開きながら見比べます。

反対に大きい子だと、

壁の模様や、本体の形から、どんな形になるかを予想。

「きっと、ゴリラだよ!」

「わかった!チーターだ!」

「絶対、ゾウ!」

など、クイズのように楽しみ、当たったあとも、

「ここが鼻になってるのか!」

「確かに耳に見える!」

と、本体と形を細部まで見比べて形の類似性からくるおもしろさを味わってました。

この、影絵のような、本体とはぜんぜん違う形のペンキの跡ができる驚きも、この絵本のとてもおもしろいところです。

最後まで飽きさせない様々な変化球

さて、読み進めていくにつれ、なんとなく流れがわかり、次の展開やどんな形になるのかが予想できるようになっていくこの絵本。

ですが、一筋縄ではいきません。

ページが進むごとに、どんどん変化球を投げて、予想を難しくしてくるのです。

最初は、男の人やネコなど、単体で予想しやすいペンキの形。

ですが、そこに物が追加され、壁の柄によるヒントがなくなり、2人組になり・・・

と、ぱっと見で予想がつきにくいよう、対策がされていくのです。

きわめつけは、最後の場面。

ペンキをかぶるのを防ぐという、この絵本の基本をぶち壊す猛者まで現れます。

これらの変化球は、ペンキをかぶり、形ができるという、みんなの中でのお約束があるからこそ輝くもの。

この、基本的な流れが同じ繰り返しの中で、最後まで新鮮な驚きを味あわせてくれる楽しい変化球も、この絵本のとてもおもしろいところです。

二言まとめ

通行人、ペンキ、走ってくる車から導き出されるお約束を、盛大に全力で描き出す。

お約束のおもしろさと、影絵のようなペンキの跡が違うものに見えるおもしろさを融合させた、色と形と笑いの絵本です。

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