作・絵:りとうようい 出版:すずき出版
サバンナでヒョウがヒヒを追いかけます。
捕まらないよう必死に逃げるヒヒ。
いま、動物たちの表情がおもしろすぎる壮絶な鬼ごっこが始まります。
あらすじ
サバンナで、ヒョウがヒヒを追いかけています。
必死で逃げるヒヒは、木に登り逃げますが、ヒヒも負けじと木に登りました。
すると、ヒヒは木から飛び降り逃げていきます。
ヒョウは急いで木を降りて追いかけますが、ヒヒの姿は見当たりません。
と、その時、キリンが水を飲むために首を下げると・・・
キリンの頭の上にヒヒが!
ヒヒは池を泳いで逃げます。
ヒョウも池の中を追いかけます。
しかし、ヒョウとヒヒの姿を見て、ワニがぞろぞろやってきました。
ヒョウとヒヒは、2人で逃げます。
その勢いにフラミンゴたちが一斉に飛び立つと、ワニは驚き逃げていき、ヒョウとヒヒのおいかけっこに逆戻り。
ここぞとばかり、ヒョウはヒヒに飛びかかりました。
危機一髪、ヒヒはとっさにゾウの鼻に飛びつき難を逃れます。
が、しかし、驚いたゾウが鼻を持ち上げ、ヒヒを投げ飛ばしたからたまらない。
ヒヒは空の彼方へ飛んでいってしまいました。
飛んでいったヒヒを、今度はペリカンがナイスキャッチ。
けれど、ヒョウは諦めません。
ペリカンを追って走っていくヒョウ。
でも、そんなヒョウの目の前には・・・。
壮絶なおいかけっこの結末やいかに!?

おしまい!
『ひ~』の素敵なところ
- ページをめくるたびなにかが起こるドタバタおいかけっこ
- 大爆笑間違いなしな動物たちの顔芸
- 先が気になる壮大(そうな)結末
ページをめくるたびなにかが起こるドタバタおいかけっこ
この絵本のなによりおもしろいところは、ヒョウとヒヒのドタバタとしたおいかけっこにあるでしょう。
ただ走り回るだけではなく、サバンナ中の動物たちを巻き込んで、ドタバタと進んでいくおいかけっこ。
そのおいかけっこは、ハラハラドキドキすると同時に、コントを見ているようなおもしろさと脱力感を与えてくれます。
キリンの頭の上に隠れたり、
おいかけっこしていたと思ったら、2人でワニに追いかけられたり、
ゾウの鼻に飛びついたら、空に放り投げられたり・・・
ページをめくるたびに展開が目まぐるしく変わり、見ていて飽きることと、笑いが止まることがありません。
子どもたちも、
「あー!見つかっちゃった!」
「ヒョウも一緒に逃げてるー!」
「飛んでっちゃったよ!」
と、展開が変わるたび、驚いたり、笑ったり、叫んだりと、目まぐるしく表情が変わっていました。
この、ページをめくるたびに大きく展開が変わる、ドタバタとしたおいかけっこのおもしろさが、この絵本のとても楽しいところです。
大爆笑間違いなしな動物たちの顔芸
そんな大笑い間違いなしのおいかけっこですが、実はもう1つ、大笑いを大爆笑まで高めてくれるこの絵本ならではの要素があります。
それが、動物たちの顔芸です。
表紙からもわかるように、この絵本の動物たちはコミカルに描かれます。
おいかけられるヒヒは、涙だけでなく、鼻水まで垂れ流しながら必死で逃げるのです。
キリンの頭の上で見つかったときには、見るからに「しまった・・・」という表情をするし、
ワニに追いかけられる時は、顔が風圧で潰れるくらい大慌て。
ヒョウが飛びかかってくるときなんか、ヒヒの目玉が文字通り飛び出してしまいます。
この顔芸がとにかくシンプルにおもしろい。
こどもたちも、
「変な顔~!」
「目が飛び出してるよ!」
と、大爆笑。
完全にギャグ漫画をみているノリで笑わせてくれるのです。
この、ドタバタしたおいかけっこにぴったりの、ギャグ漫画顔負けな動物たちの顔芸も、この絵本のとてもとてもおもしろく特徴的なところです。
先が気になる壮大(そうな)結末
こうして、おいかけっこは続いていきますが、絵本の中で決着はつきません。
紆余曲折あり続け、ヒヒは逃げ、ヒョウは追いかけ続けます。
これまで、大いに笑わせてくれたこの絵本。
ですが、最後だけ、なんとも壮大な雰囲気を漂わせて終わります。
まさに打ち切り漫画で「俺達の戦いはこれからだ!」というような壮大さ。
この最後の場面だけ見て、まさかヒョウとヒヒのおいかけっこの結末だとは思いもよらないことでしょう。
でも、最後が壮大そうなだけで、なんだかすごい長編絵本を読んだとの「ふぅ・・・」と、一息ついてしまうような感じになるから不思議なもの。
絵本を閉じたあと、奇妙な達成感を味わえます。
この、これまでのドタバタ感が嘘のような、壮大(そうな)結末による奇妙な達成感もまた、この絵本のとても不思議でおもしろいところです。
きっと、読み終わったとき「つづきが読みたい!」と思わせられることでしょう・・・。
二言まとめ
ヒョウとヒヒによる、ギャグ要素てんこ盛りのドタバタおいかけっこに大爆笑させられる。
目まぐるしく変わる展開に、少しも目が離せないジェットコースターのような動物絵本です。
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