みらいのえんそく(4歳~)

絵本

作:ジョン・ヘア 文:椎名かおる 出版:あすなろ出版

ワクワクドキドキの遠足。

バスに乗ったり電車に乗ったりするかもしれません。

でも、未来の遠足は一味違います。

みんなが乗り込むのは宇宙船なのですから。

あらすじ

先生に連れられて、子どもたちは宇宙船に乗り込みます。

到着した先は月面でした。

みんなで地球が見える場所まで向かいます。

みんなが綺麗な地球に大喜びしている中、一人の子が岩場の陰で地球をスケッチしていました。

そして、スケッチしながら眠ってしまいました。

目を覚ますとみんながいません。

探しに行くと、みんなを乗せた宇宙船が出発したところでした。

しょうがないから絵でも描くことに。

絵をかいていると、岩場の陰から宇宙人がこちらを見ています。

宇宙人に絵を見せると大喜び。

クレヨンを貸してあげると、体や岩に絵を描き始めました。

一緒に楽しく絵を描いていますが、この子は無事に帰れるのでしょうか。

『みらいのえんそく』の素敵なところ

  • 言葉が少ないことで、行間を想像して楽しめる
  • 宇宙人との絵を通した微笑ましい交流
  • 所々で起こる、ちょっと悲しい出来事

この絵本には最小限のセリフとナレーションしか出てきません。

なので、ページとページの行間などは頭の中で自由に想像していけます。

また、月面の静かなイメージにもぴったりで、本当に月面でやり取りしている感覚になります。

まるで、宇宙服での呼吸音が聞こえて来るかのようです。

そんな、少ない言葉のなかでの宇宙人と男の子の交流はとても微笑ましく描かれています。

男の子が宇宙人に気付いた時の宇宙人の驚きっぷり。

岩陰に隠れた宇宙人に「みたい?」と聞いた時の喜びっぷり。

クレヨンを初めて使った時の驚きつつも楽しそうな様子。

それを見て、「おえかきしたいひと?」と先生のように聞く男の子。

大好きな絵をきっかけに仲良くなっていきます。

とても優しく微笑ましい絵本ですが、所々悲しいことが男の子に起こります。

そもそも、月面に忘れられている所が悲しいのですが、宇宙船を見送り「いっちゃった」という時の後姿の哀愁がすごい。

その後も、宇宙人にクレヨンをあげる時に、「5人しかいないのに、7本持って行っちゃったよ」と残り1本のクレヨンを見つめる姿。

所々で、肩を落とすのですが、それが本当に哀愁を漂わせているので思わずクスリとしてしまいます。

子どもたちからも「あ~あ」「この子がやったんじゃないのに・・・」とため息交じりに聞こえてきます。

色々なことがありつつも、宇宙人と遊んだら楽しそうだなと思わせてくれる物静かで温かい絵本です。

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