作:いとうひろし 出版:小学館
この町には秘密がある。
誰も知らない、ぼくだけが知っている秘密。
親友の君にだけは教えてあげる。
「これは誰も知らない秘密だけどね・・・」
あらすじ
ぼくが一年生になって初めてできた友だちのミリ君が言った。
「これは誰も知らない秘密だけどね」
そう言って、ミリ君は帰り道にこの町の秘密をたくさん教えてくれた。
二丁目の角の犬は本当は絶滅したはずのニホンオオカミだってこと。
そのオオカミの飼い主が天才科学者で絶滅した生き物を次々と蘇らせていること。
三丁目の池のカエルは魔女のお菓子を食べ過ぎた子どもたちだってこと。
魔女はお菓子屋のおばさんに化けていて、「おまけだよ」と毒入りのお菓子を配っていること。
他にもたくさん教えてくれた。
そして、ある日、ミリ君は最後の秘密をぼくに教えてくれた・・・。
『さいごのひみつ』の素敵なところ
- 想像力をかきたてる秘密
- 「これは誰も知らない秘密だけどね」というワクワクするフレーズ
- ミステリアスな最後の場面
次々と出てくる町の秘密。
街角の犬、お菓子屋のおばさん、魚屋さんや肉屋さん、スーパーマーケット。
自分の町にもある場所の誰も知らない秘密。
もしかりたら、いつも行っている場所にも秘密があるかもしれないと想像力がかきたてられます。
子どもたちからも「あの公園のカエルも・・・」「いつも行く駄菓子屋さんのおばあちゃん・・・」
「いつもいくスーパーが・・・」と、秘密に想像を膨らませる声が聞こえてきました。
その秘密を話す前に必ず言うセリフも魅力的です。
「これは誰も知らない秘密だけどね」
この言葉を言った瞬間、子どもたちがシーンと静かになります。
本当に内緒話をしているような雰囲気になります。
これは本当にすごいです。
どんな秘密が出てくるのかと真剣な表情をして耳を傾けているのです。
そして訪れる最後の場面と最後の秘密。
これがミステリアスで夢があります。
この秘密によって、これまでの話が作り話だったのか、本当のことだったのかがわからなくなってきます。
きっとそれはずっと明かされない秘密なのでしょう。
ミリ君の秘密を通して、自分の町も秘密にも想像を膨らませ、いつも見ている景色を変えてくれる。
そんな夢のある絵本です。
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