作:柴田ケイコ 出版:アリス館
パンの国に住むパンたちは、みんな特技を使えます。
「ぱぱんがパン!」と手拍子すると・・・
食パンの頭から、なんとヒヨコが飛び出しました!
あらすじ
ここパンの国に暮らすパンたちは、みんな素敵な技を持っています。
ぱぱんがパン!
と、手を叩くと、そんな不思議な技を披露してくるみたいです。
はじめにやってきたのは、しょくパンくん。
「ぱぱんがパン!」と手を叩くと・・・
頭のフタが開き、中からたくさんのヒヨコが飛び出しました。
次は長いフランスパン。
「ぱぱがパン!」と手を叩くと・・・
ふわりと体が宙に浮き、空を飛びました。
その次はコロネパン。
中にはチョコクリームが詰まっています。
顔をちょんっと触ったあとに「ぱぱんがパン!」と手を叩くと・・・
チョコクリームの首がぐんぐん伸びていきました。
さらに、首をすーっとなでてから「ぱぱんがパン!」と手を叩くと・・・
首がさらに伸び、とぐろを巻いてヘビみたいになりました。
次にやってきたのはメロンパン。
小さく「ぱぱんがパン!」と手を叩くと・・・
メロンパンが大きくなり、夜空で月のように輝きはじめました。
あんパンにまるパンと、まだまだ出てくるパンたちのすごい技。
次はどんな技を見せてくれるのでしょうか?

おしまい!
『ぱぱんがパン!』の素敵なところ
- パンとは思えないすごすぎる技
- 一緒に手をたたきたくなる「ぱぱんがパン!」
- 大盛りあがりな最後の連続技
パンとは思えないすごすぎる技
この絵本のなによりおもしろいところは、パンとは思えないスゴ技の数々でしょう。
パンの特技と言うから、パンの特性にまつわるものかと思いきや・・・
最初のしょくパンくんから、ヒヨコを出すという、しょくパンとまったく関係ない技を披露してくれます。
これには、

えー!?ヒヨコ出た!?



マジシャンみたい!
と、いきなり度肝を抜かれる子どもたち。
一気にみんなをパンの国へ引っ張り込んでしまいました。
その後も、フランスパンが浮いたり、メロンパンが光ったりと、パンらしからぬ驚きの技を披露するパンたち。
コロネパンがギリギリ、クリームを使ったコロネらしい技を披露しますが、おいしくはなさそう・・・
どのパンも、登場時はふっくらおいしそうなのに、技にはそのパンらしいおいしさが全然反映されてないのがすごい。
みんな技で驚かすことに全力をかけているのです。
この、パンらしさもおいしさもすべて捨てた、パンたちの本気過ぎるスゴ技が、この絵本のおもしろく度肝を抜かれるところです。
パンたちの芸人魂恐るべし・・・
一緒に手をたたきたくなる「ぱぱんがパン!」
そんなスゴ技を披露してもらうために、必要なことがあります。
それが「ぱぱんがパン!」と手を叩くこと。
この決まりが絵本をよりおもしろくしてくれます。
自分が「ぱぱんがパン!」と手を叩くと、絵本の中のパンたちが動き出す。
これだけで、絵本の中のパンたちと対話しているような、まるで魔法のようなおもしろさを感じることでしょう。
加えて、手を叩くのがとっても楽しい。
みんなで同じリズムを取ることで、一体感も味わえます。
なにより、頑張ってリズムを合わせようとする子どもたちが、とても微笑ましいのです。
また、本文で「ぱぱんがパン!」の合わせをサポートしてくれているのも嬉しいところ。
「ぼくのわざ、なんだと思う?手を叩いてみてね。せーの ぱぱんがパン!」
「ほーら、膨らんだわ。もっともっと手拍子やってみましょう!ぱぱんがパン!ぱぱんがパン!ぱぱんがパン!」
というように絵本を読んでいるだけで、自然と息を合わせて「ぱぱんがパン!」と手をたたけるようになっています。
この、普通に読んでいるだけで、手をたたくという体の動きと絵本が連動するおもしろさや、みんなとの一体感を味わえる「ぱぱんがパン!」の繰り返しも、この絵本のとても素敵で楽しいところとなっています。
合わせを少しアレンジするとさらに盛り上がるので、読み方を工夫するのも楽しい絵本となっているのもいいですよね。
大盛りあがりな最後の連続技
さて、そんな「ぱぱんがパン!」で盛り上がるこの絵本。
やっぱり一番盛り上がるのは最後の場面です。
これまでほとんどが単発技でしたが、最後のパンは一度の「ぱぱんがパン!」では終わらない、連続技を見せてくれます。
「ぱぱんがパン!」と手をたたくたび、変化していく形と大きさ。
そして、最後にやってくる、連続「ぱぱんがパン!」と「もっともっと手拍子やってみましょう」の煽り文句。
膨らんで大きくなっていくパンの姿と相まって、盛り上がりは最高潮です。
そりゃ、激しく大きく「ぱぱんがパン!」をしてしまいますよ。
この、盛り上がる要素しかない、最後の場面の連続技の熱狂も、この絵本のとてもとてもおもしろく大盛り上がりするところです。
最後の場面では、みんなが必死に「ぱぱんがパン!」をしまくることで、ライブ会場のような一体感に包まれることでしょう。
二言まとめ
パンたちの、パンらしさとおいしさを捨て去った、本気過ぎるスゴ技に驚きと笑いが止まらない。
「ぱぱんがパン!」の手拍子で、楽しいリズムと一体感を味わえる、みんなでも盛り上がれる食べないパンの絵本です。
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