ぞろりぞろりとやさいがね(4歳~)

絵本

作:ひろかわさえこ 出版:偕成社

冷蔵庫の奥底に忘れ去られた野菜。

ついうっかり腐らせてしまうことがあると思います。

でも、野菜たちにしてみれば、うっかりではすみません。

自分の人生がかかっているのですから。

あらすじ

人が寝静まった真夜中。

冷蔵庫から痛んだキュウリが出てきました。

続いて、ゴボウとトマトも出てきます。

段ボールの中からは芽が生え放題のジャガイモたちが出てきました。

みんな食べられずに忘れられた野菜たち。

悲しくて、悔しくて仕方ありませんでした。

今夜、恵まれない野菜の集まりがあるという話を聞き、みんなでそこへ行ってみることにしました。

道へ出ると、他の家からも野菜たちが出てきました。

集まった野菜たちは人間に復讐しようと大騒ぎです。

その盛り上がりが最高潮に達した時でした。

お寺の鐘が一つなったのです。

そして「これこれ」という小さな声。

声の先を見てみると、そこにはみみず和尚と、ダンゴムシの小僧さんが立っていました。

怒っている野菜に和尚さんは言いました。

「忙しいとつい忘れてしまう。恨んで悪さをすれば、心が腐ってしまう。心が腐ってしまうと美味しい野菜には生まれ変われない」と。

それを聞いた野菜たちはしんみりと聞き入りました。

そして、「ぼくらは一体どうすればいいのでしょう?」と聞きました。

そんな野菜たちに和尚は言います。

「まだまだ役に立つぞ」と。

一体和尚は腐った野菜たちをどうするつもりなのでしょうか。

『ぞろりぞろりとやさいがね』の素敵なところ

  • 腐ってしまった野菜たちの生の声が聞ける
  • 腐った野菜たちの姿がとてもリアル
  • 命のリサイクルがわかりやすく描かれている

この絵本では美味しく食べてもらいたかったのに、腐ってしまった野菜たちの痛々しい本音を聞くことが出来ます。

「元々はピカピカのツルツルだったのに・・・」

「最初はシャキッとしていたのに・・・」

「美味しく食べられるたびに生まれてきた!」

と、悲しみや怒りの表情を浮かべながら訴える野菜たち。

その野菜たちの絵もまた痛々しいことこの上ない。

ジャガイモの伸び放題の芽。

トマトのしわしわ感。

花の咲いたブロッコリー。

芽が伸びすぎて、ネギのようになった玉ねぎ。

野菜の傷み方が物凄くリアルに描かれています。

子どもたちもその姿には「かわいそう・・・」と言葉を失ってしまいます。

そんな野菜たちですが、捨てられる以外にも残された道がありました。

それはまさに命のリサイクルです。

食べられなくなったものにも、まだ出来る仕事があることや、無駄にはならないことを教えてくれます。

腐らせないように、しっかり食べてあげること。

そして、腐らせてしまったとしてもそれを無駄にしないことを通して、命の大切さを感じさせてくれるお話です。

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