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ねことことり(4歳~,絵本,花)

作:たてのひろし 絵:なかの真実 出版:世界文化社

ある日、木の枝を束ねる仕事をしているネコのもとに、小鳥が飛んできました。

小鳥が木の枝を7本欲しいと頼むので、ネコは1日1本ずつ木の枝をあげることに。

毎日小鳥と話をするうち、2人は仲良くなっていきました。

けれど、7日目がやってきて・・・

目次

あらすじ

森の中に、ポツンとネコの家がありました。

そこには、紅茶好きなネコが1人で暮らしていました。

ネコが家で紅茶を飲んでいると、外から車の音が。

車はネコの家の前に止まると、コブシの木の枝をどっさりと降ろしていきました。

ネコの仕事は、このコブシの枝を束ねる仕事。

この仕事をしてお金を稼いでいるのです。

さっそく、ネコが仕事に取り掛かろうとすると、窓に小鳥がとまりました。

小鳥は困った様子で、ネコに話しかけ、お願いをしたのでした。

そのお願いとは、コブシの枝をわけてほしいというもの。

ですが、ネコも仕事の道具を簡単にあげるわけにもいきません。

それでも、小鳥が1本でもいいと頼むので話を聞くと、とても困っていて枝が7本必要だと言います。

そこでネコは、1日1本ずつ枝をあげることにしました。

枝を1本もらうと、小鳥はお礼を言って急いで飛び立っていきました。

次の日の朝、ネコが窓を開けると、きれいな歌声とともに小鳥が枝をもらいに来ました。

ネコが小鳥の歌を褒めると、小鳥はいつもより長く歌ってくれました。

今度は、小鳥がネコの家はいい匂いがすると褒めました。

コブシの枝の匂い、花の匂い、紅茶の匂い、どれもいい匂いがするのです。

けれど、ネコにはわからないようでした。

ネコには匂いがわからなかったのです。

それからも、小鳥は毎日、枝をもらいにやってきました。

そのたびに、一言二言話すうち、2人はすっかり仲良くなり、毎日がとても楽しくなりました。

7日目の朝がやってきました。

いつものように小鳥が枝を取りにやってきます。

小鳥はネコにお礼を伝えると、一目散に飛び立ちました。

そして、お互いに別れを告げました。

ネコは忙しそうな小鳥に「またきてね」と言えませんでした。

小鳥が来なくなって、ずいぶん月日が経ちました。

ネコは、小鳥とのやりとりを思い出してばかりの日々で、仕事もはかどらなくなってしまいました。

そんなある日、遠くから美しい小鳥の鳴き声が聞こえてきたではありませんか。

ネコが窓に駆け寄ると・・・。

おしまい!

『ねことことり』の素敵なところ

  • ネコと小鳥の短く幸せな時間
  • 匂いを感じられそうなほどリアルで素敵なネコの家
  • 嬉しい再会と素敵なサプライズ

ネコと小鳥の短く幸せな時間

この絵本の心温まるところは、ネコと小鳥の過ごす、短いけれどとても幸せそうな時間でしょう。

7日間という、終りが見えている中での関わりですが、2人は少しずつ仲良くなります。

小鳥の歌声がきれいだという話、

ネコの家からいい匂いがするなどの話、

をする中で、

小鳥は1つの歌と1つの匂いしかわかないこと、

ネコは匂いを感じないこと、

など、お互いのことが少しずつわかってきます。

でも、その話をする時間も朝のほんのわずかな時間。

ネコは仕事をしなければならないし、小鳥も枝を持って帰らないといけないのですから。

そんな7日間だけの朝のほんの少しの時間が、2人にとってかけがえのない時間になっていきます。

でも、終わりが見えている出会いだからこそ、とても幸せそうなのに、なんだか切なさを感じます

日が過ぎるごとに、

もう少しで最後の日になっちゃう・・・

もう来なくなっちゃうのかな・・・

という、子どもたちの反応からも、1日過ぎるごとにカウントダウンされているような切なさを感じているのでしょう。

この、幸せそうだからこそ終りがあることを強く感じる、2人の短く幸せな時間とそこで交わされる言葉の温かさが、この絵本のとても素敵で幸せで切ないところです。

匂いを感じられそうなほどリアルで素敵なネコの家

そんな2人が出会うネコ家は、赤い屋根で壁を色とりどりの花が覆うかわいいく素敵な家です。

この、家や周りの景色、ネコや小鳥まで、ものすごくリアルで本当にそこにあるかのごとく描き出されているのも、この絵本の素敵なところとなっています。

ネコや小鳥は表紙からもわかる通り、その毛の1本1本まで丁寧に描かれとってもふわふわ。

外の景色は、草花のひとつひとつが命を宿してるように、みずみずしく描き出されています。

家の中の小物は、そこでどんな生活をしているのかがわかるほど、生活感がありつつも整頓されていてオシャレ。

まるで、トトロに出てくるサツキたちの家のような立地もあいまって、「こんな家に住んでみたいな」と大人も子どもも思うことでしょう。

そんな中でも、特に重要なのが家を覆う色とりどりの花。

色とりどりの花たちは見ているだけで美しく、本当にいい匂いがしてきそうです。

この花から本当に匂いがしてきそうなリアルさが、小鳥の感じるいい匂いという話しに現実味を持たせてくれます

子どもたちも、

おはないっぱいさいてるもんね!

甘いにいい匂いがしそうだよね!

と、小鳥の言葉に共感。

この、本当にいい匂いがしてきそうなほど、リアルに素敵に描き出されるネコの家に目が釘付けになってしまうのも、この絵本の素敵で、ずっと絵本の世界に浸っていたくなるところです。

実は匂いというのが、最後の場面への伏線ともなっているので、絵から匂いを感じられるというのは、とても重要なポイントでもあります。

嬉しい再会と素敵なサプライズ

さて、7日目がやってきて、別れの時が訪れた2人。

ネコは再開の約束もできず、会えない寂しさに押しつぶされてしまいます。

これまで切なさを感じながらも、幸せそうだった子どもたちも、心配でつらそうな表情と雰囲気に。

ですが、最後の場面でまた幸せな時間が訪れます

ネコと小鳥は再会を果たすのです。

これには子どもたちも、

小鳥さんだ!

また会えてよかった!

と、パッと表情が輝きます。

でも、再会の嬉しさだけで終わらないのが、この絵本の素敵なところ。

再会とともに、たくさんのサプライズが待っていたのです。

小鳥が枝を集めていた理由や、その結果の嬉しく楽しいサプライズ。

さらに、ネコの言葉をしっかり覚えてくれていて、小鳥がネコのことを強く強く想って考えたことがとてもとても伝わってくるサプライズなプレゼントまで用意されていました。

このたくさんのサプライズが、会えなくなった寂しさの反動や、再会の嬉しさとあいまって、本当に嬉しく幸せなものになっているのも、この絵本の素敵なところです。

まさにハッピーエンド!

最後のプレゼントには、絵本のその後を想像するのが楽しくなるような仕掛けがされているので、ぜひ子どもたちと話しをしてみてください。

きっと、ネコと小鳥のその後や、プレゼントの使い方など、たくさんの「つづき」を聞くことができますよ。

二言まとめ

終わりがわかっている、ネコと小鳥の短く幸せなひと時を見て、一緒に幸せで温かな気持ちになる。

別れの切なさと寂しさを感じるからこそ、再会の喜びを強く強く感じられる素敵な出会いの絵本です。

登る保育士ホイクライマー
保育士
絵本大好きなクライミングが趣味の保育士/保育士歴12年/クライミング歴10年
年間200冊以上読み聞かせをしてきた経験を元に、絵本の紹介をしています。
専門書や学術書を読むのも好き!
その中から、日々の保育や子育てに役立ちそうな知識も、深め・濃いめ・具体例多めで、紹介しています。
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