文:おおなり修司 絵:丸山誠司 出版:絵本館
色々な動物たちが次々にやってきます。
その動物たちの行動が、どれも自分の名前にかかった言葉遊びに。
言葉の語感やリズムの心地よさと、物語の勢いに思わず笑ってしまう絵本です。
あらすじ
木から落ちそうな子どものコアラ。
そこへコアラの親がアラアラとやってきて・・・
ホラホラと背中で子どもをナイスチャッチ。
リンゴがたくさん落ちてる場所がありました。
バクがリンゴをバクバク食べながらやってきて・・・
リンゴを全部食べたバクは、ブクブクと太って丸くなりました。
大きな川がありました。
枝をくわえたビーバーが、たくさんバーっとやってきて・・・
枝をダーっと積み上げて堤防を作り上げました。
空からハゲタカがタカタカと舞い降りてきて・・・
お日さまの光を浴びて、ハゲタカの頭がピカピカ光ります。
まだまだ、動物たちは次々とやってきます。
アルマジロ、ツル、ガイコツ、ふんどし!?
みんな、どうやってやってくるのでしょう?

おしまい!
『コアラアラアラやってきて』の素敵なところ
- 楽しく笑える2段階の言葉遊び
- 勢いのある楽しい擬音
- 次は何が出てくるのかとワクワクする繰り返し
この絵本のなによりおもしろいところは、動物たちの名前にかかった言葉遊びでしょう。
しかも、この言葉遊び、2段階になっています。
1段階目が、「コアラ アラアラ」のような動物の名前にかかった部分。
みんな自分の名前をもじった音と一緒に登場します。
2段階目は、やってきてからする行動。
この行動は、「ホラホラ」という「アラアラ」をもじった言葉となっています。
しかも、やってきたあとの行動は、
食べすぎたり、
あっという間に大きな堤防を作ったり、
ハゲ頭が光ったり、
と、どれも子どもたちが笑ってしまうものだからたまりません。
言葉遊びだけでなく、その展開も子どもを釘付けにしてしまう楽しいものとなっています。
そのおもしろい展開の中で、動物の名前から2段階に言葉が変わっていくことで、

似てるけどなんか違っておもしろい
という、独特で癖になるおもしろさを味あわせてくれるのです。
この言葉が変わっていくおもしろさを、たくさんの動物の笑える行動と一緒に見せてくれるのだから、さらにおもしろい。
色々な言葉遊びのパターンがわかり、言葉や音のおもしろさを直感的に味わえます。
この、1つの動物の名前から2段階の言葉遊びが楽しめる、言葉が変化するのにどこか似ているおもしろさを存分に味わえるのが、この絵本のとても素敵なところです。
勢いのある楽しい擬音
そんな言葉遊びで使われる言葉は、ほとんどが擬音です。
この擬音と絵が組み合わさった、勢いある展開もこの絵本のとてもおもしろいところとなっています。
「バク バクバクやってきて バク ブクブク丸くなる」
「ビーバー バーっとやってきて ビーバー ダーっと積み上げた」
のように、擬音だけでも十分勢いが感じられるのですが、絵が組み合わさると擬音の勢いとおもしろさは倍増します。
バクであれば、荷車に積んだ大量のリンゴが空になり、バクの姿はボールのようなまんまるに。



あれ、全部食べちゃったの!?



まん丸になっちゃたよ~
と、子どもたちもバクの変わり果てた姿に大笑いしていました。
ビーバーであれば、バーっとすごい勢いでこっちに向かって泳いで来る迫力満点の構図から、ダーっという言葉とともに、一瞬で堤防が組み上がります。
その勢いは、まさに「バーっ」と「ダーっ」という言葉がぴったり。



はやっ!



すっごいおっきいのできたよ!
と、その勢いに圧倒されていました。
ほかの動物達も、擬音の勢いに負けないおもしろい展開の目白押しです。
この、勢い溢れる擬音を使った言葉遊びと、これまた勢いがすごい動物たちの躍動感溢れる絵が組み合わさって、目も耳もよそ見している暇のないビッグウェーブとなっているのも、この絵本のとてもおもしろく笑えるところです。
次は何が出てくるのかとワクワクする繰り返し
さて、こうして次々に色々な動物が出てきて、笑える行動を起こしていくこの絵本。
そんな楽しい展開に、次のページが待ちきれないのも、この絵本の楽しいところです。
すべての場面が、
動物がやってくる
↓
行動する
↓
次の動物がやってくる
という繰り返しになっているので、子どもたちもすぐに流れが掴めます。
すると、



次は誰が来るんだろう?



ウサギさんも来るかな~?
と、次のページへ期待が膨らみ、ページめくりの時みんなワクワクソワソワ。
展開がわかりやすい繰り返しだからこその予想する楽しさを味わえます。
さらに、どんな動物が出てくるかわかっても、その動物がどうなるかは想像がつきません。
動物たちがどんな行動をするのかと、やっぱりページをめくる時にワクワクさせてくれるのです。
しかも、出てくる動物は、本当に多種多様。
中には、ガイコツまで現れて、ちょっと怖い雰囲気を醸し出してくれます。
様々な雰囲気の動物たちに、色々な予想がつかない展開の繰り返しに、どんどん先が気になってしまう絵本の作りも、この絵本のとても素敵で子どもたちを釘付けにしてしまうところです。
二言まとめ
動物と擬音をかけ合わせた、2段階に変化する言葉遊びが心地よくておもしろい。
予想もつかない動物たちの行動に、少しも目を離す暇がない動物言葉遊び絵本です。
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