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こいのぼりぐんぐんこどもの日!(2歳~,絵本,行事)

作:ますだゆうこ 絵:たちもとみちこ 出版:文溪堂

病気がちな男の子が、こいのぼりの背に乗せてもらいました。

向かった先は大きな滝。

滝を登り、竜になろうとしているのです。

でも、滝登りに失敗し、滝壺へ真っ逆さま。

ケガをしたこいのぼりを見て、男の子が・・・。

目次

あらすじ

5月5日のこどもの日。

たつやはベッドの上で過ごしていました。

病気がちなたつやは、なかなか外で遊ぶこともできないのです。

窓の外では、空をこいのぼりが元気に泳いでいました。

たつやは思わずこいのぼりに、

「空を泳いでみたい」

としゃべりかけてしまいます。

すると、こいのぼりが近づいてきて、

「乗せてあげる」

と言ってきたではありませんか。

たつやは驚きながらも、こいのぼりの背中に乗ってみました。

こいのぼりは空高く舞い上がり、たつやは本当に空を飛ぶことができたのです。

こいのぼりは、アオという名前で、これから滝登りに行き、竜になるのだと教えてくれました。

まずは、滝登りをする前に、雲の上で腹ごしらえです。

2人は、雲の柏餅をむしゃむしゃと食べました。

2人が滝壺までやってくると、大きな滝が流れています。

さっそくアオは滝を登り始めました。

けれど、あと少しというところで、滝壺へと突き落とされてしまったアオ。

アオは傷だらけになり、ぐったりと倒れてしまったのでした。

倒れるアオの姿を見て、助けを呼ぶたつやでしたが、誰も来てはくれません。

その時、たつやはショウブやヨモギの葉が傷を治してくれると、本に書いてあったことを思い出しました。

たつやは山の中を夢中で探し始めました。

そして、やっとの思い出ショウブとヨモギを見つけると、アオを手当してあげました。

たつやのおかげで元気になったアオは、もう一度滝を登り始めます。

一生懸命応援するたつや。

アオはぐんぐん滝を登っていき・・・

滝の上が大きく光りました。

光の中から現れたのは、大きな青い竜。

アオが滝を登り竜になったのです。

まぶしくて目をつぶったたつやのもとに、

自分が竜になれたように、たつやきっと元気な体になるよ」

という、アオの声が遠くから聞こえてきたのでした。

・・・気がつくと、たつやは家のベッドで目を覚ましました。

けれど、なんだか体が軽くて元気いっぱいです。

たつやはパジャマのまま外に飛び出し、こいのぼりにお礼を言いました。

お礼を言われたこいのぼりも、なんだかにっこり笑ったように見えました。

おしまい!

『こいのぼりぐんぐんこどものひ』の素敵なところ

  • こいのぼりの背中に乗って空を飛ぶ気持ちよさ
  • 波乱万丈なドキドキの滝登り
  • 物語と詳しい資料で、こどもの日の由来から遊びまでなんでもわかる

こいのぼりの背中に乗って空を飛ぶ気持ちよさ

この絵本のとても楽しいところは、こいのぼりの背中に乗って、本当に空を飛べるところでしょう。

町中で見かける、空を気持ちよさそうに泳ぐこいのぼりを見ていると、

「自分もあんな風に空を飛べたらな気持ちいいだろうな」

と思うことがありますよね。

また、自分のこいのぼりを作ったり、本物のこいのぼりをトンネルにするようなこいのぼりと触れ合う遊びをしていると、

「このこいのぼりが本当に動いたらいいのに」

と思ったりします。

そんな願いを叶えてくれるのがこの絵本。

たつやの願いに答えて、本当にこいのぼりが飛んできて、背中に乗ることができるのです。

これには子どもたちも、

本当に飛んでるよ!

私も乗りたいな~

気持ちよさそう~

と、大興奮で一緒に五月晴れの気持ちいい風を感じているようでした。

たつやの楽しそうな姿からも、空の旅の楽しさと気持ちよさが伝わってくるようで、こいのぼりの背に乗り空を飛ぶ場面だけでとても魅力的。

この、悠々と泳ぐこいのぼりを見たら誰もが憧れる、

「自分もあんな風に飛んでみたい」

という願いを叶えてくれるところが、この絵本のとても素敵なところです。

波乱万丈なドキドキの滝登り

こうして、滝へと到着し、滝登りを始めるこいのぼり。

この滝登りが一筋縄ではいかず、とても険しいものになっているのも、この絵本のとてもハラハラドキドキするところとなっています。

普通は苦労しつつもサラッと登り、竜になることが多いのですが、この絵本は違います。

登り切るかと思ったところで、墜落しケガまでしてしまうのです。

その真っ逆さまに落ちる姿からは、滝登りがどれだけ危険で険しいものなのかがひしひしと伝わってきます。

そして、このピンチを救ってくれるのがたつやというのも熱い展開。

こいのぼりが励ますために連れてきた体の弱いたつやが、山の中を駆け回りショウブとヨモギの葉を探します。

そのヘビやハチに遭遇しても諦めない姿からは、成長と友情を感じ、

頑張れー!

こいのぼりを助けてあげて!

と、思わず応援にも力が入ってしまいます。

こうして、たつやのがんばりでなんとかキズを治し、もう一度挑む滝登り。

この再戦が盛り上がらないはずありません。

再度登り始めるこいのぼりに、たつやと同じくらい、

がんばれー!

あとちょっと!

と応援し、登りきって竜になった瞬間、

やったー!

ほんとに竜になった!

と大喜び。

まさにたつやと心を重ね、目の前でコイの滝登りを見ているような没入感となっていました。

この、一筋縄ではいかない滝登りを、2人の力を合わせることで乗り越えるという、波乱万丈で熱い展開にハラハラドキドキさせられ、滝を登りきった時、ものすごい達成感を味わえるのも、この絵本のとても素敵なところです。

まさに王道な友情物語ならではの熱さが感じられますよ。

物語と詳しい資料で、こどもの日の由来から遊びまでなんでもわかる

さて、そんなコイの滝登りや、こいのぼりとたつやの友情に胸が熱くなる物語。

ですが、楽しいだけでなく、こどもの日に関連することが全部わかると言っても過言ではないほど、欲張りな1冊となっています。

物語の中で描かれるコイの滝登りはもちろんのこと、その中で病気がちなたつやが元気になるというところで、こどもの日に込められた願いがよくわかります。

こいのぼりのケガを治すのに、ショウブやヨモギを使うことで、これらの葉が体にいいということもわかります。

こんな風に物語中のシーンから、こどもの日に出てくる主要なものについて、感覚的にわかるようになっているのです。

また、この絵本の中には、ところどころで行事に関する詳しい説明が載っており、

  • 子どもの日とは?
  • こいのぼりについて
  • こどもの日に食べるもの(柏餅・ちまき)
  • ショウブとヨモギ
  • こどもの日に飾るもの(兜・金太郎・鍾馗さま)

をとても詳しく説明してくれます。

こどもの日なら端午の節句の話から、兜は江戸時代の武家の話から語られるなど、行事図鑑顔負けの内容となっています。

そのままの内容だと2~3歳くらいの小さい子には難しいですが、読み聞かせしている大人が行事について知るにはちょうどいいわかりやすさ。

けっこう、知らなかった内容に驚かされることもありおもしろいですよ。

子どもの行事に関する「なんで?」攻撃に答えられるようにもなりますしね。

さらに、この絵本のすごいところは、行事遊びまで繋げてくれるところ。

柏餅の作り方が載っているので、絵本を見ながらクッキングができたり、

トイレットペーパー芯を使ったこいのぼりの作り方も載っているの、工作遊びで自分のこいのぼりを作ったり、

絵本を読んで盛り上がった気持ちのまま、自分で行事に使うものを作るという体験まで、この絵本1冊でできるようになっています。

この、絵本1冊で物語から行事についての知識、さらには行事にちなんだ遊びまで網羅されている、この絵本1冊でこどもの日を思う存分楽しめるようになっているところも、この絵本の本当にすごいところです。

二言まとめ

こいのぼりと男の子が、力を合わせてコイの滝登りを成功させるというハラハラドキドキの展開に、思わず胸が熱くなる。

物語を楽しむだけでなく、こどもの日の知識や遊びまでわかってしまう、1冊で子どもの日を思う存分楽しめるこいのぼり絵本です。

登る保育士ホイクライマー
保育士
絵本大好きなクライミングが趣味の保育士/保育士歴12年/クライミング歴10年
年間200冊以上読み聞かせをしてきた経験を元に、絵本の紹介をしています。
専門書や学術書を読むのも好き!
その中から、日々の保育や子育てに役立ちそうな知識も、深め・濃いめ・具体例多めで、紹介しています。
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