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なつみはなんにでもなれる(3歳~,絵本,まねっこ)

作:ヨシタケシンスケ 出版:PHP研究所

なつみがお母さんにクイズを出します。

クイズの内容は、なつみがなにに変身しているか当てるというもの。

でも、独特過ぎる変身の仕方に、答えが全然わかりません。

そうこうしている間になつみが・・・

目次

あらすじ

夜になり、パジャマに着替えたなつみはいいことを思いつきました。

思いついたのは、なつみがなにかの真似をして、それをお母さんが当てるクイズです。

洗濯物を畳んでいるお母さんは乗り気ではありませんが、ゲームは始まってしまいました。

最初の問題は、頭にみかんを乗せた変なポーズ。

お母さんは「なにかの踊り?」と答えます。

正解はポットでした。

次は、寝転んで足を開き、両手を山のように頭の腕くっつけます。

お母さんは「やじるし」と答えました。

正解は洗濯バサミ。

こうして、たくさんの問題を出していきますが、お母さんは全然わかりません。

なつみがしびれを切らし怒り始めると、「怒るならやらない」と言われてしまい、サービス問題を出すことに。

なつみが、7種類のかっこうをして見せますが、お母さんにはわかりません。

答えはなんと、全部宇宙人。

お母さんは、自分にわかるやつにしてくれとリクエストしました。

すると、なつみは寝転んで脱力したポーズ。

お母さんは「お昼寝」と答えます。

正解はお母さんがよくやる「茹ですぎたブロッコリー」。

次は、両手を広げ、片足を上げて、笑顔の嬉しそうなポーズ。

お母さんには全然答えがわかりません。

正解は「からあげをいーっぱい食べたい気持ち」でした。

やっぱり、正解がわからないお母さんに怒るなつみ。

眠そうにしていますが、意地でもゲームを続けます。

次のポーズは・・・?

そろそろ寝る時間ですが、このゲームはいったいいつまで続くのでしょう。

おしまい!

『なつみはなんにでもなれる』の素敵なところ

  • 独特過ぎて正解がわからないまねっこクイズ
  • なつみとお母さんのリアルで笑えるやり取り
  • 大きな疑問を残す子どもあるあるな最後のオチ

独特過ぎて正解がわからないまねっこクイズ

この絵本のなによりおもしろいところは、なつみの独特なまねっこゲームでしょう。

頭の上にみかんを乗せて、ポットのフタについている取ってを表現したり、

矢印と見せかけて洗濯バサミだったり、

顔だけ出して毛布にくるまるポーズがおにぎりだったり、

顎の下に白いタオルをくっつけて、サンタクロースだったり、

絶妙に答えの選択がニッチなものになっていてわからない。

まさか、子どものクイズで洗濯ばさみが選ばれるとは・・・。

しかも、現実的なものから、段々と答えの幅が広がっていき、見たことのない宇宙人や目に見えない気持ちなど、正解の形がかわらないものまで出てくるから難しい。

子どもの出すクイズ特有の、理不尽さがリアルに感じられることでしょう。

中には、お母さんの作ったものや、お母さんのよくやる仕草のポーズまで・・・。

これらのクイズは、なつみのポーズだけでもおもしろいのですが、お母さんの答えでさらにおもしろくなります。

変なポーズをするなつみに、

「・・・いもむし?」

「とんがったオムライス?」

など、直感的な答えを返していくお母さん。

その言葉に子どもたちは、

いもむしw

とんがったオムライスっておもしろすぎる!w

と大笑い。

なつみのポーズに、お母さんの答えがツッコミのような役割を果たして、よりおもしろくなっています。

そのため、くり返し見てもまねっこゲームのおもしろさは色褪せず、むしろ答えを知っているからこそお母さんの答えがおもしろくなってしまうのです。

この、子どもならではの独特で自由で理不尽なクイズに、お母さんの大人な答えが重なって、問題にも答えにも大笑いできるところが、この絵本のとても笑えて盛り上がるところです。

なつみとお母さんのリアルで笑えるやり取り

こうして、まねっこゲームを続けていくなつみとお母さん。

ゲームをする中で、交わされる親子のリアルなやり取りに思わず笑ってしまうのも、この絵本の素敵なところとなっています。

もうゲームが始まる前から、なつみが洗濯物をたたむのに忙しそうなお母さんのところへ来て、

「おかーさん!なつみはね、すごくいいことを思いついたよ!」と嬉しそうに言い、

「え?また?もうすぐ寝る時間なんですけど」とお母さんがちょっと嫌そうに返す。

という、親子のリアルなやり取りが始まります。

しばらく問題が続き長くなりそうだと思ったお母さんの、

「あのネ、お母さん洗濯物たたみたいの。あと3つくらいにしな?」という提案に、

「じゃあ、あと10個ね!」という理不尽な譲歩。

など、なんとも家でよく行われていそうな会話劇が続きます。

この、思わず笑ってしまう親近感も、この絵本の素敵なところ。

マンガ調に描かれたセリフとあいまって、家の中特有のリラックスした温度感がこれでもかと味わえます。

きっと、子どもも大人も、

あ~こんな場面よくあるな~

あ~こんな場面よくあるな~

と、この親子の姿にとても共感できることでしょう。

大きな疑問を残す子どもあるあるな最後のオチ

さて、このまねっこゲームにも、終わりの時が訪れます。

その終わり方も、まさに子どもあるあるなオチになっているのも、この絵本のおもしろいところ。

スイッチのONとOFFが明確過ぎる子どもならではの結末となっています。

このいきなりスイッチOFFになる子どもの姿に、大人も子どもも笑ってしまうことでしょう。

ただ、この終わり方には1つ困ったことが・・・。

最後の問題の答えがわからず終わってしまうのです。

寝そべって、両手に1本ずつスプーンを持ち、頭に洗濯かごを乗せるなつみ。

この答えは明かされず終わります。

でも、実はある場面にヒントがあり、なんとなくならわかるように。

もちろん、正解はなつみの頭の中なので、実際にはわかりませんが。

この、盛り上がっていたのに急に終わる、子どもあるあるな思わず笑ってしまう結末も、この絵本らしいリアルでおもしろいところとなっています。

二言まとめ

なつみの子どもらしい独特過ぎるまねっこゲームと、お母さんによる大人らしいちょっと面倒くさそうな受け答えに思わず笑ってしまう。

家の中特有のリラックスした安心感と、親子のやり取りあるあるのおもしろさを、大人も子どもも一緒に感じられるまねっこ絵本です。

登る保育士ホイクライマー
保育士
絵本大好きなクライミングが趣味の保育士/保育士歴12年/クライミング歴10年
年間200冊以上読み聞かせをしてきた経験を元に、絵本の紹介をしています。
専門書や学術書を読むのも好き!
その中から、日々の保育や子育てに役立ちそうな知識も、深め・濃いめ・具体例多めで、紹介しています。
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