作:せなけいこ 出版:童心社
言い間違いや、聞き間違い。
よくあることですが、タイミングによっては大騒動に。
聞き間違いによる、ドタバタ言葉遊び絵本です。
あらすじ
天狗には色々な種類がいます。
くちばしがあって、羽が生えているカラス天狗なんて言うのもいます。
ある日、空から卵が降ってきました。
駆けつけたのは、海辺の犬と森の猿と山のカラスでした。
3匹が卵を見ていると卵が割れて、くちばしがあり、羽の生えた変な奴が顔を出しました。
「お前、誰だい?」と聞くと、
「おいら、‟てんぐ”さ。」と答えます。
しかし、「‟てんぐさ”なら海の中に生えてるが・・・」と勘違い。
海辺の犬がその子を海へ連れて行って、投げ入れました。
すると、海からタコが手を出して、「捨て子はまかりならん」とその子を返してくれました。
その子は3匹に「‟てんぐさ”じゃないよ。‟てんぐ”だけだよ」と言いました。
すると「‟てんぐだけ”なら森にある」とまた勘違い。
森に連れて行きました。
てんぐだけを見せるけれど、てんぐだけとは似ていません。
そこでその子は「‟てんぐ”の子どもだい!」と言いました。
今度は「‟てんぐ”なら山の上にいるよ」とカラスがその子をおぶって飛んでいきました。
一体いつになったら親もとへ帰れるのでしょうか。
『てんぐさてんぐ』の素敵なところ
- 聞き間違いの言葉遊びの面白さ
- テンポのいい進み具合
- 最後まで耳に心地よい言葉遊びを忘れない
天狗の子どもはずっと「天狗」だと言い続けているだけなのに、言い方によってこんなにも違うものに勘違いされてしまいます。
しかも、どうみても違う「てんぐさ」や「てんぐだけ」。
子どもたちからも「全然違うよ!」と総ツッコミが入ります。
そんなつける言葉や、言い方によって全然意味が変わってしまう言葉。
その面白さをわかりやすくコミカルに描いています。
言葉の多様性に気付くきっかけにもなると思います。
それと一緒に、物語のテンポがよく飽きさせないものこの絵本の魅力です。
一問一答のようにテンポよく起こる勘違いに子どもたちは釘付けです。
「また間違えてる!」と大盛り上がり。
そして、最後まで言葉遊びを忘れません。
最後のページでは、犬、猿、カラスにちなんだ言葉遊びをして終わります。
その語呂の良さはとても耳に心地よく、言葉が流れていくようです。
楽しくわかりやすく、言葉遊びが楽しめる絵本です。
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