作・絵:岡田よしたか 出版:金の星社
カスタネット、ピアニカ、リコーダーなど。
どれも馴染み深い楽器たち。
そんな楽器たちの秘密の演奏会をご存じでしょうか。
それは夜に開かれます。
あらすじ
夜になり、なるおくんはぐっすりと眠っています。
そんな中、おもちゃ箱に入っていたカスタネットが動き始めました。
カスタネットは公園に行って遊ぶことにしました。
音を鳴らして遊びますが、一人だと寂しい・・・。
そこで、とらこちゃんの家に行って、トライアングルくんを呼んできました。
2人で音を鳴らして遊んでいると、「ヒュ~」と不気味な音が・・・。
それはリコーダーくんが驚かすために出していた怖い音でした。
3人で遊んでいると、ピアニカくん、ハーモニカくん、大太鼓、シンバルもやってきました。
そして、大きなピアノまで。
みんなで賑やかな演奏会が始まりました。
しかし、それぞれの演奏を巡ってけんかが始まってしまいました。
するとそこへ、ちくわ、あずき、おもちがやってきました。
なんと3人も音を出すことが出来たのです。
こうして、またみんなで楽しい演奏会が始まりました。
けれど、そうこうしているうちに夜が明けてきました。
みんな、家に帰らなくてもいいのでしょうか。
『いっしょにあそばへん』の素敵なところ
- 思わず一緒に演奏したくなる、楽しそうな演奏会
- そこで奏でられる音にみんな大笑い
- ちょこちょこ挟まれる小ネタにクスリとさせられる
この絵本の楽器たちは本当に楽しそうに音を奏でます。
綺麗な演奏というより、楽しそうなのがポイントで、自分も楽器を鳴らしたくなるのです。
演奏会だけでなく、ピアニカとリコーダーがハーモニカを吹かせてもらったり、リコーダーが怖い音を出してみたりと、楽器を使った遊びを取り入れているのも楽しそうに見える要因なのかもしれません。
さらには楽器じゃないものまで混ざってきてしまいます。
でもそれは、なんでも楽器になるということ。
楽器という枠を超えて、一緒に楽しく演奏会をする姿は音楽の本質をしっかり表していて、それが直感的に子どもたちにも伝わっているのだと思います。
そんな楽器たちが奏でる音楽は、リズム感や語呂がよく、音感も楽しく面白い。
この音を聞くと、聞き惚れる・・・のではなく、みんな大笑いです。
けっして上手な感じではないけれど、少しへんてこで、明るくて、楽しそうなのが子どもたちにも伝わるのでしょうか。
みんなとっても楽しそうに笑うのです。
でも、この絵本。
そんな大笑いの陰にクスリという小笑いな色んな小ネタを散りばめています。
それも面白いところ。
特にカスタネットくんは張り切り過ぎると、開ききって元に戻れなくなります。
みんなで演奏している時、けんかが始まった時など、ページの端っこでこっそり困っています。
そのたびに、ピアニカくんやハーモニカくんが戻してくれます。
一番最後の一言にもクスリとさせられます。
とっても楽しく盛り上がる演奏会に、脱力させてくれる小さな笑いを散りばめた絵本です。
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