ワタナベさん(3歳~)

絵本

作:北村直子 出版:偕成社

「お鍋一つでなんでも調理」

そんなキャッチコピーを耳にしますが、「本当かな?」と思ったことはありませんか?

お鍋のワタナベさんもその一つ。

本当に作れないものはないのでしょうか。

あらすじ

お店をやっている、お鍋のワタナベさん。

メニューにはおでん、水炊きなどのメジャーなお鍋から、ちゃんこ、カレー、ボルシチまで、世界各国の料理名が並んでいます。

お客さんが来て、おでんを注文されました。

次々と材料を入れ、火が付くとワタナベさんは真っ赤になりました。

次第にいい匂いがしてきます。

次々にお客さんがやってきて、中華鍋、ロールキャベツ、炊き込みご飯など、色々な料理を注文していきます。

ようやく最後のお客さんになりました。

そのお客さんはナポリタンを注文しました。

ワタナベさんは困ります。

「フライパンがないのでちょっと・・・」と言うと、「鍋一つで何でもできるんでしょ?」と言われてしまいました。

悩むワタナベさん。

頭の中をイタリアやナポリ、フライパンのことなどが頭の中を巡ります。

ワタナベさんはナポリタンを完成させることが出来るのでしょうか。

『ワタナベさん』の素敵なところ

  • 料理がとってもおいしそう
  • 直感的でわかりやすい言葉
  • お店の中の作りが細かくリアル

この絵本の一番の魅力は、出来た料理のホカホカとしてとてもおいしそうな所でしょう。

おでんにカレー、ちゃんこなど、どれも匂いがしてきそうなくらいおいしそう。

この絵本に出てきていないメニューも食べたくなってしまいます。

子どもたちも完成してふたが開くと「おいしそう!食べたい!」「私、卵がいい」「うちはソーセージ入ってるよ」など、鍋の話で盛り上がります。

そんなおいしそうという気持ちを盛り上げる、もう一つの要因は直感的な言葉にあると思います。

特に材料を入れて煮込む時の「グツグツ パッパ グツグツ パッパ」という音。

煮込んでいる時の待ち遠しさや、段々いい匂いがしてくる情景を思い起こさせてくれます。

ふたを開けるのが待ち遠しくてしょうがありません。

そんなおいしい料理が作ってもらえるワタナベさんのお店ですが、細部まで描き込まれています。

材料が色々なところにあるのは当たり前、食器や鍋敷きも当たり前。

それだけでなく、作り方のメモが貼ってあったり、冷蔵庫には仕入れの伝票、ガス会社から来るマグネットまでリアルに描かれているのです。

メニューの所には

「ごはんあります」

「一人分できます」

など、鍋料理やに行くなら気になる部分もしっかり書いてくれています。

そんな色々なところのリアリティが、料理のリアリティへと繋がり、とてもおいしそうに見えるのだと思います。

鍋一つでなんでも出来るワタナベさんのお店に、ぜひ足を運んでみてください。

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