作:こしだミカ 出版:小学館
立派な髭を持つ生き物はたくさんいます。
それぞれ特徴的で魅力的な髭。
でも、ある生き物が自慢を始めると大騒動に。
髭の魅力が詰まった一冊です。
あらすじ
ある池に、髭自慢のおおなまずが住んでいた。
おおなまずは旅に出て、その立派な髭を自慢することにした。
おおなまずは髭を振り回し始めた。
すると振り回した髭がプロペラになり、空高く飛び立った。
草原の上を飛んでいると、ヤギが草を食べていた。
おおなまずは草原に降りるとヤギに言った。
「俺様の世界一立派な髭から見たら、糸くずみたいなひげやなぁ」
温厚なヤギもこれには怒って、おおなまずを空高く蹴り上げた。
おおなまずは懲りもせず、町の上を飛んで行った。
すると、立派な髭のおじさんがステッキを振って演説していた。
おおなまずは町に降りて行って、おじさんに言った。
「俺様の世界一立派な髭からみたら、ゲジゲジみたいなひげやなぁ」
世界平和を唱えていたおじさんもこれには怒って、おおなまずをステッキで打ち上げた。
おおなまずは懲りもせず、海の上を飛んで行った。
すると、赤いひげのエビが昼寝していた。
おおなまずは海に降りるとエビに言った。
「俺様の世界一立派な髭から見たら、いとみみずみたいなひげやなぁ」
エビは何も言わずおおなまずの髭をハサミで切ると、尻尾で空高く跳ね飛ばした。
髭のプロペラがなくなったおおなまずは飛び続けることができず急降下。
ずんずん地面にめり込んでいった。
おおなまずは一体どうなってしまうのでしょうか。
『ひげじまん』の素敵なところ
- 気持ちいいくらい嫌味なおおなまずのキャラクター
- とてもきれいな三段落ち
- でも、なぜか最後は大団円
主人公のおおなまずは気持ちいいくらい嫌味です。
相手の髭を褒める気はさらさらありません。
自慢する気しかありません。
その自慢の仕方も、相手の自慢を聞いてから思い切り馬鹿にします。
その時の、おおなまずの表情や、自分の髭を相手の顔の前に煽るようにゆらゆらさせる仕草は本当に嫌味です。
でも、なんだか憎めないから不思議です。
そんなおおなまずは何回痛い目にあっても懲りません。
まったく同じシチュエーションで3度も空高く打ち上げられます。
そんな姿に、子どもたちもあきれ顔。
自慢してると「やばいやばい!」
空高く打ち上げられると「そりゃ、そうなるよ!」と口々に言っていました。
しかし、3度目は髭を切られて大ピンチ!
まさかの墜落!
これには子どもたちも「どうなっちゃうの」と心配に。
子どもを飽きさせない見事な3段落ちです。
そのオチの奇麗なこと。
この流れから、絶対平和に終わらないと思っていたのに、まさかの大団円が待っています。
全然いい話ではないのに、ものすごくいい話風にまとまる摩訶不思議なお話です。
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