作:小手鞠るい 絵:えがしらみちこ 出版:出版ワークス
ここは魔法の絵本屋さん。
読むとその世界に入り込める素敵な絵本を売っています。
今回は海の絵本。
まるで、本当に波の音が聞こえて来るようです。
あらすじ
浜辺で遊ぶ男の子と犬のマリン。
2人は海が大好きだった。
マリンが天国へ行ってしまった日も浜辺にいた。
それから一年経ち、砂浜で貝殻を集め家に帰ろうとすると不思議な足跡を見つけた。
たどっていくと「うみねこブックス」という絵本屋さんがあった。
店員はしろねこさん。
しろねこさんは店内を案内してくれ、選んだ本を読んでくれると言う。
男の子は海の絵本を選んだ。
絵本を開くと、どこからか風が吹いてきて、海の香りがしてきた。
男の子は空飛ぶ大きなクジラに乗っていた。
飛んで行った先にあったのは、いつかの夏休みにみんなで遊びに行った海辺の村だった。
砂浜にはマリンがいた。
マリンもクジラに乗せて、2人の冒険が始まった。
島に着くと、海の中も探検した。
2人の探検はずっと続くのでしょうか。
『ようこそ海へ』の素敵なところ
- 優しい絵と優しい物語
- 本当に絵本の中に入り込んだような感覚
- 優しく背中を押してくれる素敵な絵本屋さん
この絵本はとても優しくやわらかなタッチや色使いで描かれます。
それが優しい物語とよくあっていて、心を穏やかにしてくれます。
その絵の爽やかさからなのでしょうか。
飼っていた犬が死んでしまったお話なのに、とても明るく前向きなのです。
でも、悲しみや喪失感もしっかり存在している所が本当にすごいと思います。
そんな物語の中心にあるのが魔法の絵本です。
しろねこさんが読んでくれるのですが、いきなり入り込むわけではありません。
風が吹いてきて、匂いがしてきて、音が聞こえてきて・・・。
窓を抜けると、クジラの背中の上。
その描き方が、本当に自分も絵本の中に入り込んでいくような感覚になるのです。
絵本の中でも一人称視点が使われていたりと本当に飛んでいるようです。
そんな素敵な絵本と絵本屋さん。
無理やりでも力強くでもなく、自分から前を向く力を与えてくれます。
その時自分に一番合った本で、心の自浄作用を助けてくれます。
その子を見つめた本当の優しさで背中を押してくれる。
そんなお話です。
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