作:よしだあつこ 絵:マツダユカ 出版:すずき出版
たまに動物園で見かけるハシビロコウ。
全く動かない姿はまるで石像のようです。
そんなハシビロコウが動く時。
それは一体どんな時なのでしょうか。
あらすじ
サバンナにおじさんのような顔をした、ハシビロコウのはっちゃんが暮らしていた。
はっちゃんは何時間も同じ場所でじーっと立っているだけ。
そんなはっちゃんを見て、キリンやシマウマやゾウたちは「なまけものだ」とバカにしていた。
でも、はっちゃんは動かずにじーっと遠くを見ているだけだった。
ある日のこと。
サバンナに腹をすかせたライオンがやってきた。
気付いていないキリンにそうっと近づき大きな口を開けた。
その時、翼を広げたはっちゃんが飛んできて、大きなくちばしでライオンの頭をつついた。
こうしてライオンを追い払ったが、気付いていないキリンは葉っぱを食べ続けていた。
また、ある日のこと。
ライオンがシマウマに襲い掛かろうとしていた。
シマウマは水を飲んでいて気付いていない。
ライオンがそうっと近づいて、口を大きく開けた。
その時、またはっちゃんが飛んできて、大きなくちばしでライオンの頭をつついた。
ライオンは逃げて行ったが、シマウマは気付かず水を飲んでいた。
はっちゃんの活躍に気付いていないみんなは相変わらずはっちゃんをバカにしていた。
でも、はっちゃんは変わらず遠くをじーっと見ていた。
はっちゃんの活躍が伝わる時は来るのでしょうか。
『ハシビロコウのはっちゃん』の素敵なところ
- はっちゃんの魅力と迫力
- ハシビロコウが好きになり、見てみたくなる
- 最後にはっちゃんの新たな一面が・・・
この絵本はなんと言って、はっちゃんのキャラクター性がなにより素敵です。
まず、その顔。
頑固なおじさんみたいな顔と、何を言われても気にしない性格がかっこいい。
とてもいぶし銀で渋いです。
そんなはっちゃんは仲間想いで、人知れずみんなをライオンから守ってくれるところもかっこいい。
はっっちゃんが飛んでくると、
「動いた!」
「かっこいい!」
「はっちゃん強いじゃん!」
などの黄色い歓声が上がります。
飛んでくる時や、ライオンと戦う時の迫力もはっちゃんがかっこよく見えるポイントだと思います。
飛んでくる時の顔の怖さや、眼光の鋭さはライオンも驚くほど。
ライオンに牙をむかれても、文句を言われても、無言でつつき続けるその姿。
その様子は迫力満点で、ハシビロコウの大きさや動きをよく表しています。
そんな渋くてかっこいいはっちゃんですが、最後にまさかの一面を見せてくれます。
それを見た子どもたちは「かわいいー!」とメロメロです。
はっちゃんのかっこよさを通して、ハシビロコウを見てみたくなる。
そんな子どもたちの興味を広げてくれる絵本です。
コメント