作:エリック=カール 訳:さのようこ 出版:偕成社
好きなものを好きなように創っていける絵の世界。
そこにおける絵描きはまるで神様。
想像力によって、無限の世界が広がっていきます。
そんな絵を描きたくなる絵本です。
あらすじ
「お星さま描いて」と言われ、絵描きは星を描いた。
「お日さま描いて」と星に言われ、絵描きはお日さまを描いた。
「木を描いておくれ」とお日さまに言われ、絵描きは木を描いた。
「女の人と男の人を描いてくれ」と木に言われ、絵描きは女と男を描いた。
「うちを描いてもらいたい」と2人に言われ、絵描きは家を描いた。
「犬を描いてくれたまえ」と家に言われ、絵描きは犬を描いた。
その後も、猫、鳥、蝶、花、雲・・・と、次々に描いていき、世界はとても賑やかになった。
さて、次に絵描きが描くものとは。
『おほしさまかいて』の素敵なところ
- 描いていくたびに広がる世界
- 徐々に歳を取っていく絵描き
- 絵を描く楽しさが詰まっていて、自分も描きたくなる
最初は何もなかった世界。
ですが、絵描きが星を描いた時から、世界はどんどん広がっていきます。
描いたものが次のものを望み、どんどん新しいものが生み出されていきます。
にくいのは雲まで描いた後のその演出です。
基本的に、一つのページに、描かれたものが一つ出てくる構成になっています。
なので、描いてきたもの同士が一緒にいる場面などは描かれません。
しかし、雲まで描いた次のページで、これまで描いたものたちが暮らしている場面を描きます。
とても明るく、賑やかで、楽しそうな情景です。
これを見ると、絵の無限の可能性を感じます。
自分の世界も作りたいという気持ちにさせられます。
そんな賑やかな絵の中で、1人、徐々に変化しているのが絵描きです。
最初は子どもなのですが、段々と大人になり、最後の場面ではおじいさんになっています。
そのおじいさんになった絵描きが最後に描いたもの、最後にする行動がとても深い。
天地創造の楽しさと一緒に、人生というものも伝えたかったのだと思わせられます。
この絵本の中には、エリック=カール流の星の描き方が手順も含めて描かれていたり、絵の具で塗りたくる場面が出てきたりと、自分でも描きたいと思わせる工夫が散りばめれれています。
絵本を見終わった時、大きなスケッチブックに、想像力の赴くまま絵を描きたくなるでしょう。
そんなスケッチブックを広げたくなるお話です。
コメント