作:よしながこうたく 出版:あかね書房
駐車場の土の中から拾ってきたカエル。
そのカエルがまさかの妖怪だったらどうするでしょう。
さらにそのせいで、全ての妖怪が見えるようになってしまったら・・・。
あらすじ
小学生のユウタは、ある日の学校帰り、0点のテストを埋めようと駐車場に穴を掘っていました。
すると、冬眠中のカエルを見つけたので、家で飼うことにしました。
家に帰り、カエルを水槽に入れると目が開きました。
ユウタが風呂に入りに行こうとしたその時、カエルが水槽から飛び出ししゃべったのです。
そのカエルは「ガマとの」と名乗りました。
「自分はガマ池で寝ていた。ガマ池へ連れて帰れ」と言うのです。
ユウタとガマとのが騒いでいるとお母さんがドアを開けました。
しかし、その時にはガマとのは姿は消えていました・・・。
ユウタはトイレへ駆け込みました。
小便をしていると、目の前に変わったおじいさんが現れ話しかけてきました。
おじいさんは30年も前から、そこに座っていると言います。
ユウタは疲れているのだと自分に言い聞かせました。
でも、風呂に入っても妖怪が見えました。
妖怪が見えるようになってしまったことに気付き、湯船につかっていると、湯船の中からガマとのが現れました。
ガマとのは恐ろしい顔つきになり、「ガマ池に連れていけねば、この家もろとも呪ってしまうぞ」と言い始めました。
ユウタは仕方なくガマ池に連れていくことにしました。
ガマ池の場所がわからにので、道中の妖怪に聞いてみることになりました。
つるべ落としや、砂かけ婆に聞いてみますがわかりません。
牛鬼に聞いてみると、危うく食べられそうになりました。
ガマ池が見つからず、落ち込んでいるガマとのをユウタが慰めていると、赤鬼と青鬼が通りがかりました。
2人はガマ池の場所を知っていて案内してくれると言うのです。
でも、たどり着いたのはガマとのが埋まっていた駐車場でした。
そこにはガマとのの家来がいましたが池はありません。
ガマとのたちが50年間冬眠している間に池はなくなってしまっていたのです。
ガマとのたちはガマ池に変えることは出来ないのでしょうか。
ガマとのはずっとユウタの家で暮らすことになるのでしょうか。
『ようかいガマとの~おイケへカエる~』の素敵なところ
- 勢いのある絵と躍動感
- 徐々に仲良くなっていくガマとのとユウタの友情
- ページに散りばめられた妖怪たちと妖怪探し
この絵本でまず目に飛び込んでくるのは、独特のタッチで描かれた絵本の雰囲気でしょう。
キャラクターの表情など、独特の雰囲気ですが、そこに目を奪われてどんどん読み進めてしまいます。
そんなキャラクターたちの動きがまた躍動的です。
まるでアニメを見ているかのように描かれた動き。
ガマとのが水槽から飛び出したり、家で妖怪たちがうごめいたり、牛鬼がユウタを食べようとしたり。
どれも絵本から飛び出して来そうなほどの躍動感です。
その絵を見ているだけで、「うわー出てきた!」「家にいたら嫌だ~」と楽しめてしまいます。
そんな躍動感たっぷりで描かれるガマとの。
このガマとののわがままっぷりはまさにお殿様。
自分勝手でわがままです。
ユウタも最初は振り回されてばかりでした。
でも、一緒に冒険し、助け助けられていくうちに、いつしか友だちになっていました。
終盤の互いを思いやる気持ちは見ていて心が温まります。
そんな物語に欠かせないのが数々の妖怪たち。
家や町の中など、いたるところにひしめいています。
不気味なもの、コミカルなもの、かわいいものなど様々。
表紙の裏には登場する妖怪の図鑑も載っているので、それを見ながら妖怪探しを楽しめるのも魅力の一つです。
本編に、妖怪探しにと、この独特の絵と雰囲気を存分に楽しめる絵本です。
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