たからもののあなた(4歳~)

絵本

作:まつおりかこ 出版:岩崎書店

いつも大好きなお母さん。

でも、すれ違うこともあります。

そんな時、大切なのは言葉と行動。

それを教えてくれる温かな絵本です。

あらすじ

子ウサギの女の子フウは朝目を覚ますと、元気に飛び起きました。

お母さんの所に行くと、朝の準備に忙しそうです。

今日は友だちの子ネコのミイちゃんのうちに遊びに行くので、フウはとても楽しみ。

お母さんにミイちゃんのうちへ迎えにきてもらう約束もしました。

幼稚園に着くとお母さんは仕事に行きます。

幼稚園ではお絵かきに日でした。

テーマは「大好きな人」

フウもミイちゃんもお母さんを描きました。

お母さんに見せるのが楽しみです。

幼稚園が終わり、ミイちゃんの家に遊び行きました。

ミイちゃんはさっそくお母さんに絵を見せています。

ミイちゃんの家ではお母さんとミイちゃんが作ったクッキーを食べました。

その後、遊んでいると、玄関のチャイムが鳴りました。

フウはお母さんだと思いましたが、迎えに来たのはおばあちゃんでした。

お母さんは急な仕事で遅くなるというのです。

ご飯を食べ、お風呂に入り、寝る時間になってもお母さんは帰ってきませんでした。

フウは帰ってくるまで起きていようとしましたが、気付いたら朝でした。

急いでお母さんに絵を見せに行きましたが、お母さんはまだ寝ていました。

フウはお母さんに朝ごはんを用意してあげようと思い、冷蔵庫から牛乳を取り出しました。

しかし、牛乳をこぼしてしまい、絵がぐっしょりと濡れてしまったのです。

物音に気付いて起きてきたお母さんにフウは言いました。

「どうしてお母さんはフウと一緒にいてくれないの。フウのことが好きじゃないの。フウはお母さんとずっと一緒にいたいのに!!」と。

そして、わんわんと大きな声で泣きました。

そんなフウにお母さんはなんと声をかけるのでしょうか。

『たからもののあなた』の素敵なところ

  • 幼稚園や保育園に通っている子の素直な気持ち
  • それに対するお母さんの素直な気持ち
  • お母さんや子どもに自分も気持ちを伝えたくなる

幼稚園や保育園で両親と離れて過ごす子の抱く気持ち。

「もっと両親と一緒にいたい」

もちろん遊び始めたら楽しいし、迎えに来ても「まだ遊びたい」と言い出したりします。

朝、「行かないで!」と泣く子も珍しくありません。

この絵本のフウはそんな気持ちを、思い切り代弁してくれます。

心の奥底には思っていても、中々口にはしない思いを、大声で言ってくれます。

それを聞いたお母さんもしっかりと言葉と行動で示してくれます。

普段思っていても、中々伝えられない思いをフウに伝えてくれます。

それはフウを通して、見ている子どもたちにも伝わります。

そんな二人のやり取りをみていると、自分も大好きだという気持ちをしっかりと伝えたくなります。

この絵本を読んだ年長さんは、担任の先生に「大好き」という手紙を書いたりもしていました。

普段言えない素直な気持ちを、フウを通して伝えてくれる。

とっても温かく優しい絵本です。


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