空をつくる(5歳~)

絵本

作:村尾亘 出版:小さい書房

当たり前のように見ている空。

でも、昔よりも見える空は狭くなってきています。

高層ビルや、大型施設などなどで。

いよいよ空が無くなってしまいそうな時。

自分たちで空を作り始めた人たちのお話です。

あらすじ

ある村に猿の絵描きがいた。

小さい頃から絵を描くのが好きだった。

絵描きが大人になるにつれ、村の緑は消えていき、代わりに家が建った。

背の高い家が窮屈に並んでいて山も見えない。

土地が無くなると、建物は上に伸びていった。

その結果、空が小さくなっていった。

空が見えなくなると、町はどんより薄暗くなった。

住人は気分も落ちこみ、やる気も出ない。

そこで、話し合い空を作ることになった。

絵描きのサルに頼んで、家の壁に空の絵を描いてもらうことにしたのだ。

どんどん注文が入り、絵描きは自分の絵でみんなを喜ばせることが出来て嬉しかった。

ところがある日、鳥が空の絵だと気付かずに壁にぶつかりけがをした。

またある時は、古くなった家を壊すのには金が要るから、空の絵で覆って隠してくれという依頼もあった。

絵描きは裕福になっていったが、疑問もあった。

「ぼくたち、空を作るなんてこと、してよかったのかな。」

絵描きはこの疑問にどんな答えを出すのでしょうか。

『空をつくる』の素敵なところ

  • 町の発展には代償があることを教えてくれる
  • 自分の本当にしたいことを考えさせられる
  • 本物の空の解放感

普段、当たり前のように出来ているビル。

「こんなところにマンション出来るんだ」くらいにしか感じないと思います。

でも、そこには代償として確実に空が減っている事実もあります。

それが進んでいくとどうなるか・・・。

それをこの町の極端な発展を元に教えてくれ、気付かせてくれます。

きっと、自分の子どもの頃の町と、今の町、全然違う人も多いのではないでしょうか。

そんな町で空を作ることになった絵描きのサル。

自分の本当に描きたいものとのギャップに悩まされます。

喜ばれ、必要とされ、お金も十分にもらえる仕事。

仕事としては大成功です。

でも、本当にしたいこと?本当に描きたいもの?

この悩みを持っている人はきっと多いと思います。

そんな悩みにこの絵本は空で答えてくれます。

最後の場面の解放感は本当に心が開くようです。

絵描きのサルを通して、便利さや現代化の歪みに目を向けてくれる。

そして、そこから抜け出した時に、霧が晴れるような解放感を味合わせてくれる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました