作:よしながこうたく 出版:あかね書房
学校に伝わる七不思議。
動く人体模型、トイレの花子さん、勝手に鳴るピアノなど。
そんな学校の妖怪が盛りだくさんな、ガマとのシリーズの第二弾です。
あらすじ
ある日のこと、カエルの妖怪ガマとのが、校庭の土を掘って大事なものを探していました。
しかし、いくら探しても見つかりません。
その頃、理科室で実験をしていたダイゾウとタカシとスミレ。
タカシが綺麗な石を持っていることに、ダイゾウが気付きました。
ダイゾウとタカシがその石を取り合って暴れていると・・・。
急に辺りが真っ暗になり、先生も他の生徒もいなくなっていました。
何かが近づいてくるのに気づいた三人。
足音のする方を見てみると、人体模型が近づいて来ていました。
慌てて理科室を飛び出し階段を降りようとしましたが、階段の段がどんどん増えて降りることが出来ません。
そこでいったん教室に隠れることに。
教室の教卓には先生が座っていました。
三人は安心して話しかけましたが、教卓から身を現したのは人面犬でした。
人面犬は三人に「ガマとの様を怒らせたな」と言ってきます。
三人はひとまずガマとのを探すことにしました。
しかし、校内は妖怪でいっぱいです。
口裂け女に、トイレの花子さんなど、色々な妖怪が襲い掛かってきます。
スミレがトイレの花子さんにつかまったその時、天井から巨大なカエルが降りてきました。
巨大なカエルのガマとのは、タカシの見つけた石を返せと怒っています。
ですが、三人が偶然見つけたことを説明し、石を返すとガマとのの怒りはおさまりました。
そして、なぜかガマとのの屋敷へと招待されることに。
ガマとのは1階の鏡の中へと、嫌がる三人を引き込んでしまいました。
三人はどうなってしまうのでしょう。
元の世界へ戻ってこられるのでしょうか。
『ようかいガマとの~ゲッコウの怪談~』の素敵なところ
- 不気味な妖怪たちからの手に汗握る逃走劇
- 大人が少し切なくなるストーリー
- 学校の怪談がわかる妖怪図鑑
この絵本のおもしろいところは、なんといっても王道なホラー要素です。
急に様子が変わる学校。
そこに現れる妖怪たち。
そこから逃げる三人。
と、手に汗握る要素が揃っています。
また、校内の雰囲気や、現れる妖怪の不気味さもさらに不安感をかきたてます。
そんな王道ホラーな展開ですが、その中には切ない要素も。
そして、これはかつて小学校で怪談話を信じていた大人に向けられたものです。
この場面を見ると、あんなに怖かった学校の怪談が愛おしく思えます。
絵本の中にたくさん出てくる妖怪ですが、絵の中に紛れ込んでいる妖怪もたくさんいます。
そんな妖怪を紹介した妖怪図鑑があるのもこの絵本の魅力です。
どんな妖怪か、なぜそこにいるのかなどがわかるので、見ていても探してもおもしろい作りになっています。
子どもは妖怪たちの不気味さや怖さに惹きつけられ、大人は昔信じた怪談話に思いを馳せる。
世代によって感じ方の変わる深みのある絵本です。
コメント