作:かこさとし 出版:偕成社
楽器を演奏していると楽しい気分になってきます。
そんな楽器を取り上げられてしまったら。
音を出せる道具が一つもなくなってしまったら。
もう楽しい音楽は味わえないのでしょうか。
あらすじ
みんな幸せないい国がありました。
音楽が大好きな国で、広場で誰かが音楽を始めると、みんなも演奏したり踊ったりと楽しく過ごしていました。
しかし、それが気に食わないのが欲張りな悪魔でした。
ある晩、悪魔は魔法を使い、国中の楽器を盗んで、大きな銀色のクモの巣に楽器をひっかけてしまいました。
翌朝、みんな楽器がないことに気付きました。
広場に集まり、どうしたらいいか相談するといい考えが閃きました。
バケツやコップなど色々な道具を使い、〈ちょっと変な楽器〉を作ることにしたのです。
それでまた、広場で楽しい音楽を開くことが出来ました。
しかしまた、悪魔が〈ちょっと変な楽器〉だけでなく、新しい楽器を作らないように大事な道具まで取ってしまいました。
また、国の人は考えました。
そして、今度は動物をたくさん集めてきました。
たくさんの動物たちが鳴き始めるとまるで本物の音楽のようになりました。
欲張りな悪魔は、動物たちも取っていってしまいました。
みんな広場に集まりましたが、今度ばかりはみんながっかりして元気がありません。
もうこの国では音楽が出来なくなってしまうのでしょうか。
『わっしょいわっしょいぶんぶんぶん』の素敵なところ
- 音楽の楽しさが詰まっている
- リズムよく心地のいい文章
- 多様な人が力を合わせる物語
この絵本には音楽の楽しさが詰まっています。
楽器だけじゃなく、身近なものや動物たち、音の出るものならなんでも音楽。
それに合わせて歌って踊れば、こんなに楽しいことはない。
細かいことは気にせずに、音を楽しむことだけを考える。
そんなこの国の人を見ていると、なんでもいいから楽器を鳴らしたり、歌ったり踊りたくなってきます。
文章のリズム感もその楽しさをさらに盛り上げてくれます。
文章全体が、歌うように気持ちよく流れていくのです。
歌の中に出てくる「わっしょいわっしょいぶんぶんぶん」などは、一緒に口ずさんでしまいます。
そんなリズムのよい文章にはたくさんの人が出てきます。
おじいさんにおばあさん、おじさんにおばさん、お兄さんにお姉さん、男の子に女の子、えばりんぼうにあまえんぼう、なきみそさんによわむしさん、やさしいひとにこわいひと・・・。
といったように、絵だけでなく文章の中にちゃんと出てくるのです。
こうして文章に描かれることによって、多様な人が一緒に考えて音楽をやっているんだということが実感できるのです。
また、絵を見てどれがその人か探す楽しみも。
絵本の中の音楽の楽しい雰囲気に誘われて、実際に音楽がしたくなる絵本です。
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