作:よしながこうたく 出版:あかね書房
これは妖怪ガマとのが、まだ殿様になる前のお話。
それは江戸時代までさかのぼります。
江戸の町で、宇宙規模の大事件が始まろうとしています。
あらすじ
昔あるところに、ガマガエルの妖怪がいました。
ガマは人間を驚かして楽しんでいましたが、それにも飽きてきました。
そんなある日の帰り道。
妖怪でも人間でもない生き物が助けを求めてきました。
城へ連れて帰り手当をすると、その生き物は宇宙人だと名乗りました。
宇宙人の名前はウンモ。
ゼティ星人でした。
両親に会うために宇宙船を探してほしいと言いました。
退屈していたガマとのは暇つぶしに付き合うことにしました。
ある月のない夜。
空に輝く宇宙船が現れ、人間をさらっていました。
ガマはその宇宙人を捕まえて、ゼティ星に行く船か聞きましたが違いました。
あくる夜。
盗賊を襲う宇宙人にゼティ星に行くか聞いてみましたが、不思議な光線を撃たれ帰りました。
また別の夜。
牛を奪おうとする宇宙人を見つけましたが、牛に夢中でガマたちには気付きもしなかったので帰りました。
ウンモはもう2度とゼティ星に帰れないのかと泣きました。
ウンモが諦めかけたその日の夜。
お城の上に宇宙船が現れました。
宇宙人を探して城の中をまわった末、たどり着いたのは殿様の寝所でした。
宇宙人は殿様を洗脳して、この国を乗っ取ろうとしていました。
そんなことはどうでもいいガマでしたが、ゼティ星に行くかどうかは聞きました。
その時、襖がガラリと開いて、大勢の侍がなだれ込んできました。
抗戦するガマでしたが、多勢に無勢。
ついに捕まってしまいました。
ガマ一行には打ち首が言い渡されてしまいました。
ガマ一行のお話はここで見納めとなってしまうのでしょうか。
『ようかいガマとの~おエドでうちゅうじん~』の素敵なところ
- ガマとのの昔の姿がわかる
- 思ったより宇宙人だらけの町
- 思ったより妖怪だらけの町
このお話はガマとのがまだ妖怪ガマだったころのお話です。
ガマとのシリーズを読んできた子は、「あれ?ガマとのじゃないの?」と疑問が湧きます。
そんな疑問を抱えつつ読み進めていくと、ガマとのと呼ばれるようになった理由が。
その理由を知ると、またガマとのの違うシリーズが読みたくなってきます。
ガマとののまた違った魅力や秘密を知ることが出来るのです。
さて、物語の舞台になる江戸の町ですが、思ったより宇宙人だらけです。
そんな珍しくありません。
人をさらうもの、動物に興味を持つもの、道具に興味を持つものなど様々です。
妖怪と同様、見えていないだけで、色々なところに潜んでいるようです。
様々なところに潜んでいるのは宇宙人だけではありません。
妖怪たちもいたるところに潜んでいます。
河童、枕返し、泥田坊などなど、数えきれないほど各ページに描き込まれています。
そして、そんな妖怪たちの宇宙人に対するリアクションがおもしろい。
UFOが畑にミステリーサークルを作っていると、そこにいた泥田坊がびっくりして出てきたりと、その妖怪と宇宙人の物語が想像出来てしまいます。
それは妖怪たちの豊かな表情やリアクションが活き活きと描かれているからだと思います。
そんな妖怪好きにはたまらない、ガマとのの昔話の物語です。
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