作:たむらしげる 出版:福音館書店
ゆっくりゆっくり歩くカタツムリ。
そんなカタツムリのタクシーがあったら乗りますか?
そこには普通のタクシーとは違った楽しみがあるかもしれません。
あらすじ
虫の子どもが、お父さんと一緒におばあちゃんのうちに出かけます。
雨が降ってきたましたが、そこへちょうどかたつむりタクシーが来たので乗ることにしました。目的地はもくば公園の先です。
まずは、お店のたくさんある通りを抜けます。大きな山も、かたつむりタクシーにかかればなんのその。得意の粘着力で登って降りて。逆さになっても落ちません。水の中にも入れるので、池の中にあるみずいろ町を通っていきます。
みずいろ町を抜けると、ガソリンスタンドならぬジューススタンドが。ジュースを飲んで一休み。おばあちゃんのうちまではあとちょっとです。
次はどんなところを通っていくのでしょうか?
『かたつむりタクシー』の素敵なところ
- カタツムリの特性を活かしきったタクシー
- 乗っている客はけっこう大変
- 描き込まれた虫たちや水辺の生き物の町
この絵本のなによりおもしろいところは、乗り物に向かなそうなカタツムリをタクシーにするという発想です。一見、メリットがなさそうですが、起伏にとんだ虫たちの町では、どんなところも進めるカタツムリは実に乗り物として理にかなっているのです。
その粘着力と、粘り強さで、どんなところもぐんぐん進んでいくかたつむりタクシー。水の中だってへっちゃらです。でも、中にいるお客さんは意外と大変。シートベルトなどないから、急な山道や、下り道、逆さまになろうものなら、殻の乗客席の中を転がってしまいます。
そんな苦労もありますが、やっぱり色んな景色を見られるのはかたつむりタクシーの素敵なところ。虫たちの町や、水の中の町などは魅力が一杯。たくさんの生き物やお店などが描かれていて、それを見ているだけでも想像力が広がります。
また、その建物などは飴の缶や、クッキーの箱、植木鉢に、コーヒーカップといった身近にあるものが使われているのもおもしろいところです。
そんな一つ一つの町をじっくり見たくなる、変わった乗り物絵本です。
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