再話:松居直 画:赤羽末吉 出版:福音館書店
自分には出来そうもない大きな仕事。
困り果てた挙句、鬼の力を借りてしまったらどうなってしまうでしょう。
仕事は大成功間違いなし。
・・・ですが、そこにはもちろん代償が必要です。
あらすじ
昔あるところに、とても流れの速い川があった。
流れが速すぎて、何度橋をかけても流されてしまい、村人は困り果てていた。
そこで、村人はこの辺で一番腕のいい大工に頼むことにした。
大工は了承したが、橋を架ける場所を見に行くと不安になって、水を見つめていた。
すると、川の中から大きな赤鬼が現れた。
大工の悩みを聞くと、赤鬼は目玉をよこせば橋をかけてやると言う。
大工は話半分に、「俺はどうでもよい」といい加減な返事をして、その日は家に帰った。
次の日、川へ行くと橋が半分かかっている。
また、次の日に川へ行くと、橋が完成していた。
そこへ鬼が現れて、目玉をよこせと言ってきた。
大工が恐ろしくなって待ってくれと逃げ出すと、鬼は「俺の名前を当てれば許してやってもいい」と言った。
大工はあてもなく、山の方へ逃げていき、山や谷をさまよっていた。
大工は鬼の名前を当てることが出来るのでしょうか。
『だいくとおにろく』の素敵なところ
- ハラハラドキドキの展開
- 迫力のある古風な絵で描かれる大工と鬼のやり取り
- ハラハラドキドキからスカッと爽快感のある最後
昔話である『だいくとおにろく』。
このお話の特徴は、常に「どうなっちゃうんだろう・・・」という心配が止まらない、ハラハラドキドキの連続で出来ている所です。
本当に橋がかけられるの?
橋が完成したら目玉を取られちゃうよ。
名前なんてわかるのかな・・・。
と、どんどんと心配事が変わっていき休む暇がありません。
そんなハラハラドキドキをより、楽しませてくれるのが迫力のある絵です。
この絵本はその昔話にぴったりな和風で古風な絵で描かれています。
さらにその迫力もすごいです。
特に鬼が初めて出てくる所なんて、息をのんで見入ってしまいます。
そんな迫力のある絵で描かれるこの絵本ですが、迫力があるのは絵だけではありません。
大工と鬼のやり取りも、迫力満点なのです。
橋が完成して目玉を取ろうとするところや、鬼の名前を当てようとするやり取りなど、鬼気迫る雰囲気や、大工と鬼の駆け引きなどが詰まっていて、目を離せません。
そんなやり取りの結末は、驚くほどスカッと爽快に終わります。
ハラハラドキドキがずっと続いた分、この最後の爽快感はたまりません。
大工と鬼の駆け引きを通して、たくさんのハラハラドキドキが味わえるお話です。
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