原作:ステーエフ 再話:ギンズバーグ 絵:アルエーゴとデューイ 訳:くりやがわけいこ
出版:偕成社
雨が降ると、森の生き物たちはキノコの下で雨宿りをします。
小さなキノコなのに、たくさんの生き物がみんな入れてしまいました。
そこには雨の日にだけ起こる、キノコの秘密が隠されていたのです。
あらすじ
ある日のことです。
アリが歩いていると、雨が降ってきました。
アリはキノコを見つけ、その下で雨宿りしました。
小さなキノコで、アリが入るともう一杯です。
そこへチョウチョが飛んで来て、キノコに入れて欲しいと言いました。
アリは体を寄せて、チョウチョを入れてあげました。
次に、ネズミがやってきました。
入らないと思ったけれど、みんなで体を寄せ合うと入ることが出来ました。
さらに、スズメの子どもがやってきました。
やっぱり、なんとか体を寄せ合って入れてあげることが出来ました。
さらにさらに、ウサギがやってきました。
ウサギはキツネに追われていると言いました。
みんなはウサギをキノコの下にかくまってあげることにしました。
ウサギを隠すと、すぐにキツネがやってきました。
キツネはウサギの匂いを嗅ぎまわります。
ウサギは無事、逃げ切れるでしょうか。
雨はいつになったらやむのでしょう。
『あめのひきのこは』の素敵なところ
- わかりやすい繰り返しで出てくる色々な生き物たち
- キノコに入ろうと試行錯誤するコミカルな絵
- キノコの特性を活かした物語
この絵本はわかりやすい繰り返しのやり取りで出来ています。
生き物が来る→詰める→キノコに入る→生き物が来る・・・。
この繰り返しがわかりやすく、安心して見られます。
同時に、次に誰が来るのかが楽しみになりワクワクします。
でも、みんなが入るキノコですが、これがとても小さいのです。
アリがやっと入れるくらいの大きさで、体を詰めるのも一苦労。
どう考えても入らなそうなキノコに、体の上に乗ったり、キノコを引っ張ってみたりと、試行錯誤する所までコミカルに描かれているのも、こういった繰り返しのお話では珍しい、面白いところだと思います。
しかし、この絵本のキノコは「絵本だからみんな入れた」というファンタジーではありません。
きちんとした理由があり、最後にそれが明かされます。
それがこの絵本の一番おもしろいところです。
「なるほど!」と思って、思わず最初からもう一度見直したくなります。
そんな、わかりやすい王道の繰り返しの中に、科学的疑問と答えも織り交ぜられている。
読んだら「そうだったのか!」と思える絵本です。
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