作:庄野ナホコ 出版:講談社
町中に出現するサーカス。
しかし、寒い季節に海からやってくるサーカスをご存じでしょうか。
普通のサーカスとは一味違う北極サーカス。
いよいよ、開演いたします。
あらすじ
今度の日曜日にサーカスがやってくる。
北の氷の国から、クジラにひかれてやってくる。
氷の島に乗っているサーカステントにお客さんが続々入る。
白い狼の団長が口上を述べると、いよいよ開演。
白い毛皮の団員たちが、踊り、ジャグリング、火吹き、火の輪くぐりなど、次々と技を繰り出していく。
それは、不思議で愉快でなぜだか少し悲しくて。
お月さまの光の中で見てる夢のよう。
演目は進んでいき、いよいよ最後の大技に。
北国サーカスでしか見られない大技。
一体どんな技が見られるのでしょうか。
『北極サーカス』の素敵なところ
- とても写実的で幻想的な美しい絵
- 本当にサーカスを見ているような臨場感
- 最後の大技にはダイナミックな仕掛け
この絵本の魅力はその美しい絵にあると思います。
動物や人間たちはどれも写実的で、まるで本物。
でも、人間と一緒に動物が普通に暮らしていて、動物も衣服を着ていて、客席には当たり前のように人間も動物も座っている。
団員たちは衣装を着て舞台に上がっている。
そんなリアルな絵と、ファンタジーが自然に溶け合い語られる世界観はまさに幻想的です。
そして、物凄く繊細で美しいのです。
その絵のリアルさは、見ている人をサーカスのテントへと引き込んでくれます。
文章少なに展開されていく演目はどれも臨場感があり、本当にサーカスの観客になって見ているような感覚を持たせてくれます。
でも、楽しいだけでなく、どこか静かで幻想的で、少し悲しい。
とても不思議な気分にさせてくれるのです。
そんなサーカス団の最後の大技。
そこには文章はないけれど仕掛けがあります。
このサーカスでしか見られないであろう大技。
それを見た子どもたちは歓声ではなく、「おぉ・・・」「すごい・・・」「きれい・・・」と感嘆の声を出していました。
それはこの絵本を通して、その幻想的な雰囲気に心から浸っていたからこその反応なのだと思います。
どこまでも静かで、幻想的な絵本です。
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