作:木葉井悦子 出版:講談社
暑い日は水まきをしたくなる。
ホースで雨を降らし庭中水浸しに。
植物も生き物もみんな。
そんな水まきの気持ちよさが詰った一冊です。
あらすじ
太陽が庭の上を通り過ぎました。暑くてみんな昼寝をしています。
そこで女の子がホースを持って、水まきを始めます。
雨のような飛沫を避けて、ナメクジがバンガローの中で雨宿りを・・・と思ったら、バンガローではなく椎茸のかさでした。
次は溜まった水の池でボウフラが立ち泳ぎ・・・と思ったら、池ではなくてモウソウダケの切り株に水がたまっただけでした。
今度はアオムシが石垣を登って・・・と思ったら、石垣ではなくカメの甲羅でした。
ムクドリが草むらでエサを探している・・・と思ったら、草むらではなく牛の背中でした。
その後も女の子は、庭の色々なものにどんどん水をかけていくのでした。
『みずまき』の素敵なところ
- 「と、思ったら」のわかりやすい繰り返しと意外性
- 勢い良く描かれた水
- まるで一緒に水まきをしている気分
この絵本は、生き物を近距離で見る「と、思ったら」から、ズームアウトしてみると「○○でした」の繰り返しで出来ています。どの生き物もズームアウトしてみたら意外性のある展開ばかりでおもしろい。
草むらだと思ったら牛の背中だったり
石垣だと思ったら亀の甲羅だったり
と、ズームアウトしてみないと正体がわかりません。繰り返しの中で子どもたちも流れがわかってくると、

今度は一体何なんだろう?
と予想しながら期待の眼差しを向けてきます。
また、物語の内容のおもしろさと同じくらい素敵なところがあります。その素敵なところとは水の躍動感。目の前で本当にホースから水が勢いよく溢れ出ているのではないかと思えるほど、水が溢れ出し踊り回る躍動感や力強さが表現されているのです。
水の色合いもこちらまで涼しくなるくらい冷たくて気持ちよさそう。見ていると、ホースから溢れる水を頭から浴びたくなってしまうことでしょう。
そんな気持ち良そうな水が溢れるホースを振り回し、庭中にまく女の子。この絵本を読んでいると、いつの間にか女の子になりきって、自分が水をまいているような気分になってきます。そして、水をまき終わった後、自分が水をまいていたかのように涼しさまでもリアルに感じられるから不思議です。
勢いのある絵で描かれた水まきを通して心まで涼しくなる。暑い夏にピッタリな絵本です。
コメント