作:すとうあさえ 絵:かつらこ 出版:佼成出版社
気持ち悪がられがちなミミズたち。
彼らの仕事を知っていますか?
それは元気な土を作ること。
そんなミミズの仕事や苦労をのぞいてみましょう。
あらすじ
ミミズのにょろべえは、東の畑に住んでいる。にょろべえをはじめ、ミミズたちが土を食べて、うんこをし、いい土を作ってくれるので、畑を耕す爺さんは大喜び。
西の畑には、にょろべえの友だちのにょろぞうが住んでいる。にょろぞうたちもしっかり働くので、西の畑を耕す爺さんも大喜び。
しかし、暑い暑いある日のこと。東の畑にチョウチョが飛んできて、にょろべえたちに言った。
「西の畑にミミズ文字がある」と。その内容は「たすけて」。
ミミズ文字とはミミズが体で作る文字。干からびても使わないほど、よほど困った時にしか使わない文字だった。にょろべえたちは助けに行くことにした。
西の畑に着くと、ミミズ文字を作っていたにょろぞうが教えてくれた。西の畑の爺さんがケガをして、畑仕事が出来なくなり、畑が荒れてしまったらしい。
そこでにょろべえたちが、西の畑を回復させようと土を食べ始めましたが、ポソポソの土は飲み込むのが大変。食べても中々うんこが出ません。
そこへもぐらのじいさまがひょっこり顔を出した。にょろべえはもぐらのじいさまに頼み、近くのミミズたちを集めてもらうことに。みんなで頑張って働くと、土は徐々に元気を取り戻していった。あとは、雨さえ降ってくれれば一安心。
そこで、ミミズたち全員で、空に向かって大きなミミズ文字を作った。
「あめ」と。
この一世一代のミミズ文字。天に願いは届くのでしょうか。
『まなつのみみず』の素敵なところ
- ミミズたちの頑張りが痛いほど伝わってくる
- 耳に残るミミズたちの歌とリズム
- 最後は大迫力の展開に
この絵本では意外と知られていないミミズたちの仕事がとても楽しげに描かれます。一生懸命働くミミズたちの仕事を見ると、ミミズたちのおかげで美味しい野菜を食べられているのだということが実感できることでしょう。この絵本の畑に実る作物が、とっても美味しそうでみずみずしいこともミミズの大切な役割を物語ってくれていますね。
でも、そんな土を作るため、ミミズたちは暑い中一生懸命働きます。干からびるのも覚悟でミミズ文字まで作ります。土が悪いとさらに大変。そんなミミズたちの仕事と苦労がわかると、日頃のミミズたちへの見方も変わってきます。干からびているミミズを見て、ミミズ文字に見えてきたりします。
大変なことも多いミミズたちの仕事ですが、その姿は歌に乗せて描かれるのでとても楽し気です。
「つちをたべて、うんうんうんこ。いいつちつくるぞ、うんうんうんこ」
と、歌いながら働きます。
子どもの大好きな「うんこ」というワードも入っていて、子どもたちは大盛り上がり。耳に残るリズムと相まって、自然に頭に入ってきます。他にも所々にリズミカルな歌があるのもこの絵本の楽しいところです。
楽しく、地道な展開が続いていく絵本ですが、最後にまさかな出来事が待っています。最後のミミズ文字によって、大迫力の展開になり、子どもたちもびっくりして思わず息を飲のんでしまうのです。
楽しい雰囲気の中、ミミズたちの地道な仕事をしっかり表現しながらも、盛り上げるところはしっかり盛り上げてくれる絵本です。
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