作:高橋和枝 出版:講談社
野を越え、山を越え、トコトコ走っていくバス。
バス停に止まるたびに乗ってくるのは、一風変わったお客さん。
次の駅で乗ってくるのは誰でしょう。
あらすじ
男の子とお母さん。
親子は家へ向かうバスへ乗り込んだ。
夕暮れの街並みを抜けて、バスは丘を登り始めた。
「次はりーんりーんのバス停です。」
りーんりーんのバス停では虫が一匹乗り込んできた。
バスはくねくね道を進んでいく。
「次はぴょんぴょんのバス停です。」
ぴょんぴょんのバス停ではウサギが二匹乗り込んできた。
バスは野原を走っていく。
「次はさいたさいたのバス停です。」
さいたさいたのバス停ではお花がたくさん乗り込んできた。
バスは橋を渡っていく。
バスの中では「今日はまだいないね」「どうしたんだろう」となにかを心配する声が。
段々もやが立ち込める中、バスは走って行く。
「次はもくもくのバス停です。」
もくもくのバス停では誰も待っていなかった。
バスが走り出そうとしたその時。
「まってー。乗ります、乗ります!」
一体、やってきたのは誰でしょう。
乗ってきたみんなは何をしに行くのでしょうか。
『トコトコバス』の素敵なところ
- 心地よい「トコトコトコ」の繰り返し
- 誰が乗ってくるのか気になるバス停の名前
- 最後にまさかのお客さん
この絵本は優しい、穏やかな雰囲気の中で繰り返される「トコトコトコ」が心地いい絵本です。
そんな穏やかな雰囲気の中、次々と止まっていくバス停で待っている生き物たちに、「次は誰が乗ってくるんだろう」というワクワク感もあります。
そんなトコトコトコとバスが走る→バス停のアナウンス→誰かが乗ってくる→またトコトコ走り出す。
というわかりやすい繰り返しが、この心地よさとワクワク感を作り出しているのだと思います。
さて、次々と出てくるバス停ですが、どんな生き物が待っているかのヒントになっています。
次の駅のアナウンスを聞いた子どもは、なにが待っているのかワクワク。
予想大会が始まります。
「さいたさいただから、ちょうちょじゃない?」など、色々な角度からの予想が飛び交います。
そうして、順調に増えていく乗客たち。
バスの中も賑やかになってきます。
しかし、最後のバス停は「もくもくのバス停」。
しかも、待っている人がいません。
予想外の展開に心配そうな子どもたち。
そこに現れたのは予想外の人物でした。
繰り返しの安心感のある流れの中に、驚きやワクワクもしっかり散りばめられている。
小さい子も大きい子も楽しめる、穏やかで心地のいい絵本です。
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