文:石津ちひろ 絵:こみねゆら 出版:アリス館
遊びにやってきたおばあちゃんの家。
でも、そこには不思議がいっぱいでした。
なぞなぞ遊びを始めたら、家中のものがなぞなぞを出してきたのです。
なぞなぞが女の子をお屋敷探検へと誘います。
あらすじ
おばあちゃんのお屋敷に、1人で遊びに来たさやちゃん。
朝起きると、一羽の小鳥が窓をつついていました。
窓を開けると小鳥は部屋に入ってきて、「一緒に遊ぼう」と言いました。
さやちゃんと小鳥はなぞなぞ遊びをすることにしました。
まずは小鳥がなぞなぞを出しました。
「小さな生き物が、赤いドレスをひらひらさせて、踊るように泳いでる。それは一体だあれ?」
答えは金魚でした。
さやちゃんが部屋の中の金魚をじーっと見ていると、今度は金魚が言いました。
「ぴかぴか光る針金で出来たおうち。小鳥さんは大嫌い。それは一体な~んだ?」
答えは鳥かごでした。
その答えを聞くと、小鳥は慌てて逃げていきました。
さやちゃんは小鳥の後を追いかけているうちに、知らない部屋に迷い込んでしまいました。
すると、部屋のどこからか咳払いが聞こえます。
さやちゃんがびっくりして辺りを見回すと、絵の中のおじさんが真面目な顔でなぞなぞを出して来ました。
その後も、さやちゃんがなぞなぞに答えていくと、その答えのものが次々になぞなぞを出してくるのでした。
さやちゃんはなぞなぞに従い、屋敷中を探検していきます。
一体どこに辿り着くのでしょうか。
『なぞなぞでおやしきたんけん』の素敵なところ
- ページの中に答えがある、結構本格的ななぞなぞ
- なぞなぞだけじゃなく、予想のつかない物語もおもしろい
- こんな所に住んでみたいと思える、緻密に描かれた素敵な屋敷
この絵本のなぞなぞは、結構本格的なものばかり。
しっかり頭を使わないと、中々答えは見つかりません。
でも、そのヒントとして、必ず答えがページの中に描かれています。
中には名前を知らないものや、全然答えがわからないものも。
全然わからなかったものも、答えを聞くと「なるほど!」「こういうことか!」と納得していたので、なぞなぞはいい問題みたいです。
しかし、この絵本の魅力はなぞなぞだけではありません。
むしろ、なぞなぞを解いた後。
その答えになったものがなぞなぞを出すという流れなのですが、絵がしゃべったり、絵本から猫が飛び出したりと、不思議なことが起こります。
なぞなぞの楽しさと、その後の展開や、次はどこに行くんだろうという不思議な屋敷を探検する楽しさが、見事に融合しているのです。
そんななぞなぞと探検の舞台になる屋敷ですが、まるで中世のお城のよう。
色んな部屋や屋根裏まであって、探検のしがいがありそうです。
その部屋の中にあるものも、おしゃれな家具、食器、ピアノに絵画、本棚、おもちゃなどなど。
細かく、繊細な色使いで描かれていて、こんなところに住んでみたいと思うような部屋ばかり。
それらを見ているだけでも、うっとりしてしまいます。
子どもが大好きななぞなぞと探検が、とても自然に融合され、見ている人をあっという間に屋敷の中に誘います。
夢中で最後まで見てしまう絵本です。
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