作:tupera tupera 出版:アリス館
宇宙には不思議な惑星がいくつもある。
まるでキャベツのような惑星キャベジもその一つ。
まるで、地球の野菜や果物のような動物たちが暮らしているのだ。
図鑑を通して、その生態をのぞいてみよう。
あらすじ
はるか彼方。
地球から、831光年離れた銀河の片隅に、キャベジという小さな惑星があります。
そこには不思議な動物がたくさん住んでいます。
この図鑑では、現在わかっている動物たちの姿や生態を紹介していきます。
まずは惑星キャベジの世界地図を元に、その環境を紹介します。
惑星キャベジにはハンギリ山、キャベ湖、センギリ草原、メキャベの森、キャベ地、アブラナ川、ビタミン洋、芯道といった、自然豊かなロケーションがたくさんあります。
そこにはたくさんの動物が住んでいます。
・トマトン。
トマトで出来たブタのような生き物で「ケチャッブー」と鳴きます。
・バナキリン
首が長く、子どもの頃は体が緑色だが、成長するにつれ黄色くなり、しだいに黒い斑点が現れる。
・ニンジン
二足歩行し、非常に知能が高い。
村を作って住み、言語を使ってコミュニケーションする。
・ガーリックウサギ
高くジャンプすることが出来る。
ニンジンを狙って噛みつくことがあり、噛みつかれるとしばらく強いにおいが消えない。
などなど、他にも多くの動物たちの驚くべき生態が記録されている。
『わくせいキャベジ動物図鑑』の素敵なところ
- 食べ物とその断面の組み合わせなどで見事に作られた動物たち
- その食べ物と動物の特徴を融合させた生態
- 普段の食事がキャベジの動物に見えてくる
この絵本の特徴はなんといっても、そこに出てくる動物たちです。
一種類の野菜や果物で見事に作られた動物たち。
断面や皮までも余すところなく使い、「確かに見える」と思わせてくれます。
でも、特殊な切り方や、使い方をしているわけではなく、料理に使われる基本の切り方や、皮の剥き方で作られているので、再現性が高く、普段の料理でもその動物たちの一部を目にするのです。
動物たちの生態も魅力的です。
その生態は、見事に動物と野菜や果物の特徴を融合させているのです。
バナキリンであれば、バナナの青から黄色になり、熟してブラックスポットが現れる過程を成長に当てはめています。
ガーリックウサギはニンニクなので、スタミナが切れず、ウサギなので高くジャンプできます。
ニンジンは緑黄色人種で、挨拶は「カロチン!」です。
また、動物同士の食物連鎖(?)的な部分も面白く、ガーリックウサギはニンジンに噛みつき、そのガーリックウサギはキュワニによく食べられます。
ニンジンはジャガーとクマネギを煮込んだものを主食としています。
それぞれの情報が組み合わさって、惑星キャベジの日常がなんとなく想像できるのです。
そんな野菜と果物がふんだんに出てくるこの絵本を読むと、普段の食事に入っている野菜や果物が動物に見えてきます。
「あ、ゴマアザラシが入ってる!」
「このスープ、ニンジンが泳いでるよ。あ、クマネギとジャガーもいる!」
などなど、自然と入っている食材に目が向くようです。
変わった惑星の生態を元に、地球の料理にも目を向けさせてくれる不思議な動物図鑑です。
コメント