作:岡田よしたか 出版:ブロンズ新社
いつも行く市場。
そこでとてつもない大きさの食べ物が売っていたら買いますか?
あ、買っていく物好きな人がいるみたいですよ。
これから楽しいドタバタ劇が始まるとも知らずに・・・。
あらすじ
買い物が大好きなおじさん、またやさん。
ある日、市場でとても大きなサンマの開きを見つけました。
さっそく買って、家に持って帰りました。
みんなで食べようとしたそのとたん。
サンマは突然、体を閉じたり開いたりして大暴れ。
そのまま、もっと誰かをびっくりさせてやろうと、どこかの市場を探して去っていきました。
次の日、またやさんはまた市場でとても大きなスルメを見つけました。
またやさんは、また買って帰りました。
ところが食べようとすると、足をギューッとねじったかと思うと、スクリューのように回して大暴れ。
もっと誰かをびっくりさせてやろうと、どこかの市場を探して去っていきました。
またやさんは、もうこんなのは買わないと静かにつぶやきました。
次の日、またやさんはまたまた市場でとても大きなたい焼きを見つけました。
またやさんは迷いましたが買って帰りました。
またまた買ってしまったまたやさん。
今度こそみんなで美味しく食べることが出来るのでしょうか。
でも、二度あることは三度・・・。
『とてもおおきなサンマのひらき』の素敵なところ
- 予想を超えた大きさとリアル感。
- お約束の繰り返し
- オチが完全にフリ
まずはこの絵本のアイデンティティとなる大きな食べ物たち。
これが予想の10倍くらい大きいのです。
もう、どうやって持っているのかわからないくらい大きいし、どうやって料理するかわからないくらい大きいのです。
そんな現実味のない食べ物たちですが、この絵が無駄にリアル。
リアル過ぎるのです。
サンマの焼き色は香ばしい匂いが漂ってきそうなほど。
スルメの質感も、手触りを思い出しそうなほどカラカラです。
そのギャップがおもしろさと、妙な現実味を与えてくれているのです。
そんな食べ物たちを買う→暴れる→去っていく→買う・・・の繰り返しで展開されるこの絵本。
漫才のお約束的な面白さと安心感が詰まっています。
一回目で「えー!?」と予想外の展開にびっくり。
でも、スルメが出てきたときに「絶対暴れる・・・」とお約束を確信します。
予想通り暴れて「やっぱりー!!」と大喜び。
そこからのたい焼きはもう安心感しかありません。
しかし、お約束は三回まで。
話を落とさなければなりません。
そこで用意されたオチは、完全に次へのフリなのでした・・・。
お約束の繰り返しと予想外の食べ物の動きで、安心の笑いと新鮮な驚きを与えてくれる関西弁絵本です。
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