おばけのもり(3歳~)

絵本

作:石津ちひろ 絵:長谷川義史 出版:小学館

迷い込んだオバケの世界。

そこではオバケたちが自分の名前にちなんだ暮らしをしていました。

そんなオバケの暮らしを通した、ユーモアたっぷりの言葉遊びが楽しめる絵本です。

あらすじ

年に一度のお祭りで、神社に来ていた男の子のヒロシ。

たこ焼きを食べようとしたら、その一粒が外へ飛び出して行った。

ヒロシはたこ焼きを追いかけていくうちに、不思議な世界の入口へたどり着いた。

不思議な世界にはオバケがたくさんいた。

そこにいたオバケたちは、

しるこがすき

なながすき

ーきもすき

と、みんな食いしん坊。

進んでいくと、今度はろくろくびが現れた。

うそくもって

らい

じから

ねくねあらわれ

っくりさせる

その後も、一つ目小僧、幽霊、大入道、人魂などなど・・・。

たくさんのオバケを見つけていきますが、中々元の世界には帰れません。

ヒロシは無事に、元の世界に戻ることが出来るのでしょうか。

『おばけのもり』の素敵なところ

  • 読んでいると、自然に文字へ興味が湧く
  • オバケたちの意外な趣味
  • 実は表紙から始まっている

この絵本は出てくるオバケが、自分の名前にちなんだ行動をしています。

その行動を縦読みすると、そのオバケの名前になっているのです。

そして、縦読みに気付きやすいよう、縦読みする文字だけ丸で囲まれ協調されています。

名前と行動の文字の関連性に気付いた時、子どもたちは大興奮!

「お・ば・けになってるよ!」

と世紀の大発見をしたかのように教えてくれます。

名前に使われている文字が別の文になる。

そんな文字の面白さに、自然に気付ける作りになっています。

でも、言葉の面白さだけではなく、そのお話も面白いのがこの絵本の素敵なところ。

出てくるオバケたちの行動が、予想外でユーモラスなのです。

幽霊は冷凍庫に指輪をしまっていたり、

一つ目小僧は月を見ながらぞうさんの歌を、綺麗な声で歌っていたり。

みんな知られざる趣味や、知られざる一面を持っているのです。

「一つ目小僧って歌うんだ!?」

「幽霊だから冷たいのが好きなのかな?」

と子どもたちの想像力も膨らみます。

さて、そんな意外続きのこの絵本ですが、実は表紙からすでに仕掛けられているのです。

全て読み終えて、本を閉じた時に気が付くでしょう。

あの不思議なたこ焼きがどこから来ていたのか。

色々な楽しいが散りばめられた、ひらがなに自然と興味を向けてくれるオバケ絵本です。

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