絵本の読み聞かせのいいところ

雑記

お元気様です。

登る保育士のホイクライマーです。

みなさんは読み聞かせや絵本、読書がなんとなく大切だというのは感じていると思います。

「絵本を読んでいる子の方が頭がよくなる。」

そんな漠然とした理由の方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、「読み聞かせは、後々文字を読むうえでの欠かせないベースとなる」からです。

このベースがないと、文字を覚える時や、その後の文章を読解するのに苦労することになります。

なにより物語に触れる楽しさを感じにくくなってしまうのです。

絵本の読み聞かせをしないで、早期に文字の学習を行う姿を見かけることもありますが、それは科学的にも非効率かつ、子どもの負担も大きいのです。

それでは脳科学の見地をベースに、なぜ読むことや、読み聞かせが大切なのかをお伝えしていきたいと思います。

読むことによって脳内にどんなことが起きているのか。

また、読むことはどんな力を育むのかを知り、興味を持つきっかけになれば嬉しく思います。

字を読むという奇跡的な能力

そもそも読むという力はどこから来ているのでしょうか?

遺伝子?脳の器官?

実はどこにも存在していないのです。

この字を読むという能力は人間が学習によって、後天的に手に入れる力なのです。

具体的には、何度も文字に触れることによって、脳内の各器官の間に新しい接続が出来、それによって文字を読むことが出来るようになるのです。

文字を読む時、脳内ではどんなどんなことが起きている?

では、文字を読む時に脳内ではどんな反応が起きてるのかを見ていきましょう。

これは脳内の動きをスキャンして、文字を読んでいる時に脳内がどう活発化しているかを見る実験からわかってきたことです。

まずは文字へ注意を向けます。

それをどんな形で、どんな読みか脳内で考えます。

さらにその字を用いた単語、類義語、類推される熟語も考えられます。

さらにさらにそれらの単語などにまつわる過去の記憶、その記憶に紐づく情景や感情も考えられます。

これらの大量の情報処理がなんと400ミリ秒という一瞬の間に行われているのです。

これらの処理はもちろん言語野だけでは行えません。

文字を読むためには視覚野、認知野、言語野から、運動野や感情に関連する部分まで脳内のたくさんの器官を使うのです。

文字を読めるようになるというのは、これらの元々ある脳内の器官を再接続するということなのです。

深く読む力

さて、読む力には様々なレベルがあります。

読書の真価はその中でも高いレベルの「深く読む力」を身に着けることで発揮されます

字を読めるようになった時期から、難解な本もすらすら読めるレベルまで、その力は大きく違います。

では、どうやって読む力を成長させていけばいいのでしょう?

それはは自分の背景知識を増やしていくことです。

例えば、文字を読み始めた子は、一つの文字を物凄く考えながら読みますよね。

それは、その形を見て、脳内にあるまだまだ少ない引き出しから、読み聞かせの時に聞いた音、自分の名前との同一性などを参照しつつ読んでいるのです。

では、背景知識が増えてきたらどうでしょう?

自分の名前の文字をマスターしたとします。

すると、文字を読むために使っていた力を他の所に回せます。

自分の文字が入っている単語を読んだり、その意味を類推して、次にどんな単語が来るか予測できるようになっていきます。

語彙が増えれば、さらに解読が速くなります。

それだけでなく、森や町並みの描写があった時、そういった場所に行ったことがあれば、苦労せずその情景が思い浮かびます。

また、登場人物と近い体験をしていれば、その人物の心情などを想像する助けとなるでしょう。

こうして、背景知識を増やしていくことで、文章を解読することに使う時間を減らし、文章に書かれていることの先やそれを自分なりに考える時間を増やす

それが「深く読む力」なのです。

深く読むことで起こる視点取得のすごさ

読書のすごい所は、「深く読む」ことによって登場人物になりきり、その人生を追体験できるところです。

これを他者の視点取得と言います。

この視点取得をしている時、脳内では驚くべきことが起きています。

文章を読んでいる時、脳内ではそれをイメージしています。

このイメージの力は物凄く、手触りに関する例えを読むと触覚をつかさどる領野のネットワークが、動きについて読むと運動ニューロンが活性化することがわかっているのです。

つまり、「絹のような手触り」という文章を読めば、脳内では本当に絹を触っていますし、「走り出した」という文章を読めば、脳内では本当に走っているのです。

まさに他者になりきり、その人生を生きることが出来る

これにより、現実では到底できないような体験を出来たり、一生かけても出会えないほどの人たちの人生を体験することが出来るのです。

それは多くの多種多様な考え方に触れることでもあります。

そして、読んで追体験したことが、自分の背景知識になり、より「深く読む」ことへと繋がっていくのです。

深く読む力がつくと共感力と、批判的分析力が育まれる

では、文章を読む力。

特に「深く読む力」はなぜ大切なのでしょう?

それは「深く読む」ことで共感力と批判的分析力が育まれるからです。

これは言いかえると、多様な考え方を認め、自分で考える力となります。

どちらも非常に大切な力ですよね。

共感の力が弱まっていくと、排他的、差別的な考え方に繋がります。

その最たるものは戦争です。

批判的分析力が衰えると、事実が見分けられなくなり、目の前の情報に飛びついてしまいます。

これのよい例はフェイクニュースや風評でしょう。

特にSNSなどデジタル社会では、かなり必要な力だと感じます。

読み聞かせの重要性

以上のことを踏まえ、読み聞かせについて考えてみましょう。

それはまさに読むための背景知識を蓄えることなのです。

大好きな人と一緒に同じものを見る。

これは「読むものに注意を向ける」という一番最初の段階を学んでいます。

読めなくても、読み聞かせを通して何度も字を見ている子は、脳が文字の形を記憶していくので読む時に形を識別する負担が減ります。

また、その文字と音との対応も自然に行われていきます。

触れる語彙数も圧倒的に変わってきます。

物語の大まかな構成などもわかってくるので、予測や類推をすることで、より複雑な物語も理解できるようになっていきます。

なにより、物語や読むことが楽しいと思うことで、より読み、背景知識が広がり、さらに読む

このサイクルが脳の思考力を育て、自分で考え、調べる力へと繋がっていくのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

読むというのは、当たり前の能力ではなく、学ぶことによって身に着け、磨き上げていく奇跡的な力なのです。

それは共感力と批判的分析力を育てます。

その前段階としての読み聞かせは、文字を読む力のベースを着実に子どもの中に蓄積させているのです。

ぜひ、新たな視点で文字を読むということ。

文字を読もうとしている子どもの姿を見つめてみてください。

きっと新たな発見があると思います。

次回は具体的な読み聞かせの方法についてお伝えできればと思います。

参考文献



コメント

タイトルとURLをコピーしました