チャーリーのはじめてのよる(4歳~)

絵本

文:エイミー・ヘスト 絵:ヘレン・オクセンバリー 訳:さくまゆみこ 出版:岩崎書店

新しい家にやってきた子犬。

そこで初めて眠る夜。

それはきっと不安でたまらない。

その気持ちが痛いほど伝わる絵本です。

あらすじ

ある雪の日、子犬が抱っこしてと男の子ヘンリーにせがんだ。

毛布にくるみ抱っこしながら、この子犬の名前を考えた。

そして、チャーリーにすることにした。

家に着くと、チャーリーに家を案内した。

お父さん、お母さんは、「チャーリーの散歩や、ごはんをあげるのはヘンリーがしてね」と言った。

でも、寝るのはキッチンだと言う。

ヘンリーの部屋で寝かせたいと言ってみたけれどダメだった。

そこで、キッチンにチャーリーのベッドを作った。

ヘンリーはチャーリーの隣に寝そべりしばらくすると、チャーリーは寝息を立て始めた。

ヘンリーも自分のベッドに潜って寝ることにした。

しかし、真夜中に突然チャーリーの泣き声が聞こえた。

ヘンリーはキッチンに駆けつけてチャーリーをしっかり抱き上げた。

チャーリーはぶるぶると震えていた。

初めての家での不安な夜。

チャーリーは寝付くことが出来るのでしょうか。

『チャーリーのはじめてのよる』の素敵なところ

  • ヘンリーのどこまでも子犬目線な優しさ
  • とてもリアルなチャーリーの描写
  • 自分の身近にいる動物にもチャーリーを通して自然と目が向く

この絵本を読んでいて、まず感じるのがヘンリーの温かな優しさです。

それが全て子犬のチャーリーの気持ちや目線で考えているのが伝わってくるのです。

抱っこする時も、ヘンリーが赤ちゃんの時に使っていたふかふかの毛布でくるんであげる。

家を案内する時も、全部の場所をチャーリーに見せてあげ、チャーリーがわかるように何回も繰り返してあげる。

キッチンのベッドには寂しくないように、ヘンリーが小さい頃一緒に寝ていたクマのぬいぐるみを寝かせてあげる。

そんなふうに、チャーリーの不安な気持ちに優しく寄り添ってくれるのです。

そんなチャーリーは、その幸せそうな様子も不安そうな様子も、絵と心理描写でとてもリアルに描かれています。

まずはそのかわいい姿と仕草です。

しっぽを振ってついてきたり、一緒のものを見たり、眠ったり。

とてもいきいきと、とてもかわいく描き出されています。

それと同時に、表情や文章での心理描写もリアルです。

ヘンリーと一緒にいる時は、本当に幸せそうで安心した表情を見せています。

でも、夜中に起きたチャーリーは抱きしめると震えていて、表情もとても不安そうです。

そしてヘンリーの顔を見ると、また安心した表情に。

ヘンリーへの愛着と、新しい家での心細さとが本当に丁寧に描かれているのです。

このヘンリーとチャーリーの姿を見ていると、自分の家にいる動物へも自然と目線が向いてきます。

「この子は初めて家に来た時、不安だったのかな?」

「今はどんな気持ちなのかな?」

そんな風に、チャーリーを通して、相手の気持ちを自然と考えるようになるのです。

大きな不安な気持ちと、それに寄り添う大きな優しさの気持ちの両方に触れあえる。

とても優しく温かな絵本です。

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