読み聞かせの仕方~科学的知見から~

雑記

お元気様です。

登る保育士ホイクライマーです。

前回、読み聞かせは「文字を読むベースを作る」ので、とても大切だという話をことを見てきました。

今回は「では、どんな風に読み聞かせをすればいいの?」

という疑問に答えていきたいと思います。

結論を言えば、「毎日読み聞かせの時間を作り、紙媒体の本で読み聞かせる」ということになります。

ここから、年齢別の読み聞かせの仕方や、その時期に育って欲しい力などをお伝えしていくので、ぜひご一読ください。

前提:紙媒体を使う

まず、前提として読み聞かせにはデジタル書籍や読み聞かせの動画ではなく、紙媒体の絵本を使う方がよいみたいです。

それには以下の理由があります。

  • 余分な機能がついていない
  • 一冊の本として実在する
  • 繰り返し読みやすい

では、一つずつ見ていきましょう。

1,余分な機能がついていない。

デジタル書籍の場合、スワイプやタッチからの画面の切り替えが必ずついてきます。

子どもにとってそれは刺激的な遊びです。

そちらに注意が向いてしまい、読むことよりも画面を切り替える操作が一番の楽しみになってしまいます。

2,一冊の本として存在する。

まず脳の働きとして、実在する本を触って、ページをめくることでその中で起こっている物語もリアリティを増すということがわかっています。

これは大人になってからも変わりません。

そのため、紙媒体で読んだ方が、よりその物語に没入しやすくなります

また、年齢が小さければ小さいほど、その物語だけでなく絵本自体も五感で味わいます。

触り、嗅いで、時には口に入れて本当の意味でも味わいます

五感の全てで絵本を楽しんでいるのです。

3,繰り返し読みやすい。

好きなページをいくらでも開いて、何回でも読み直せるのも紙媒体の利点です。

デジタル書籍もしおり機能など、色々な機能を使えば便利ですが、スワイプ操作のみだと好きな場面をすぐに出すのは中々大変です。

図鑑などを見ている子どもを思い出してみてください。

自分のお気に入りのページなどは、索引など見なくても、全体のこのあたりといったように瞬時に開いて見せてくれますよね。

あれはまさに繰り返しの力そのものなのです。

0歳~2歳:注意して見るようになる

さて、ここからは各年齢別に読み聞かせの仕方と注意点をお伝えしていきます。

この年齢ではひざの上に乗せてあげ、一緒に絵本を読むのが良いようです。

指差しなどをして、視覚的に伝えてあげるのも大切です。

ひざの上で一緒に絵本を読むことは、「読む」ということだけでなく、愛されている、安心するといった情緒にもいい影響があります。

情緒が安定しているからこそ、新しいものに興味を持つ余裕も生まれます。

この年齢のキーワードは「共同注意」です。

「共同注意」とは読んでいる人と同じものを見たり、指差しをすることを通じて、同じものに注意を向けることです

注意を向けるというのは、全ての行動の一番最初のアクションです。

何かを読むだけでなく、取る、見るといった全ての行動をするためには、対象に注意を向けないといけません。

この注意を自然に学ぶのが0~2歳の時期で、親しい人との「共同注意」が一番自然に「注意」を学ぶ機会なのです。

生活の中でももちろん学ぶことですが、読み聞かせの時間はそれをより深く、近く出来る時間と言うことが出来ます。

2歳~5歳:経験と物語が結びつく

この年齢は、経験したことが背景知識となり、それによって物語をより深く楽しめるようになる時期です。

そのため、読み聞かせだけでなく、たくさんの経験をすることも大切な時期です。

しかし、現代では経験できることの幅が狭くなってしまっている現実もあります。

そこで有効なのが読み聞かせなのです。

現実では出来ないような冒険が出来たり、出会えない人に出会えます

そこでの経験や言葉は現実でのコミュニケーションに影響したり、やりたいことへも影響します。

そして、現実での経験も背景知識となり、本を読む力となり、相互に作用しあって世界を広げていってくれるのです

小学1年生以降:これまでに触れてきた語彙数による格差

これまで幼児期の読み聞かせについてお話してきました。

最後に、それ以降に繋がる力についてお伝えしたいと思います。

それは語彙数です。

そして、語彙数を培うのに読み聞かせほど適したものはありません。

本の中には「昔々」や「まるで魔法のように」など、日常生活で使うことのない物語特有の言葉が含まれているからです。

では、なぜ語彙数が必要なのでしょう。

大体の子は小学1年生で読み書きを覚え、読めるようになります。

しかし、ここから「さらに読めるようになる」か「読むことから遠ざかる」かは、これまでに蓄積してきた語彙力に大きく影響を受けます

たくさんの語彙に触れてきた子は、新しい言葉が出てきたときにすでに知っている言葉との関連づけや類推がスムーズにいきます。

さらにある程度使える言葉は、新しい言葉と関連してより使うようになるため、自然とある程度使える言葉の習熟度も上がり、さらに語彙数が増えていきます。

語彙数が乏しい子は、新しい言葉が出てきたときに参照するデータがないので、それを覚えるだけで苦労します。

すると「読む」ことが大変になってくるので、「読む」ことから次第に距離を置くようになります。

読める者はより読み、読めないものはより読まなくなる

これが語彙による格差です。

しかし、語彙数は簡単に増やせるものではありません。

まさに積み重ねです。

毎日読み聞かせをする時間がある子とない子では、乳幼児期に大幅に語彙数の格差が生まれてしまうのです

アクションプラン:読み聞かせの時間の作り方

これまでで読み聞かせの大切さについては伝わったかと思います。

では、忙しい現代社会の中で、「どうやって読み聞かせの時間を作っていけばいいの?」という疑問へ、具体的なアクションプランをお伝えしていきたいと思います。

  1. おススメは寝る前
  2. 無理に最初から最後まで読まなくていい
  3. 図書館を活用しよう

1,おススメは寝る前

まず、毎日の決まった読み聞かせの時間は寝る前にするのがおススメです。

特に、時間を決めてその時間になったら片付け→絵本→寝るというように習慣化をすると、寝るまでの流れもスムーズになっていきます。

小さい時は習慣の力で寝つきがよくなり、大きくなってきたらルールを守ることや、時間を見るという学びにも繋がっていくでしょう。

もちろん、読める時にはいつでも、たくさん読んであげてください。

2,無理に最初から最後まで読まなくていい

年齢の小さな子などは、読んでいる間にページをめくったり、最後まで読まないうちに違う絵本を持ってきたりすると思います。

そこで、無理に最後まで読もうとしたり、叱る必要はありません。

大切なのは一緒に一つのものを見ながら語りかける時間です。

そのうちに、段々と一つのお話を最後まで見たがるようになるでしょう。

3,図書館を活用しよう

絵本は買うとなると中々高いです。

でも、図書館には無料で無限の本があります。

自分の好きな本を、いくらでも楽しむことが出来ます。

その子がどんな本に興味があるかなどへの新たな気付きもあるかもしれません。

ぜひ、図書館を訪れてみてください。

新しい本だと、読み聞かせをする大人も飽きずに楽しく読めますしね。

ただ、その中で特に気に入ったものなどは、ぜひ買って家において欲しいと思います。

いつも家にあり、好きな時にいつでも読めるお気に入りの絵本は、その子の安全地帯になってくれます

何かあった時、不安な時、これを読むとなぜか落ち着くという絵本があった人は多いのではないでしょうか。

そんな絵本があるだけで、子どもはとても心強いのです。

でも、サボっても大丈夫!

ここまで、色々なメリットや、アクションプランを書いてきましたが、これを日常生活でいつもやるのってとても大変です

なので、個人的には出来なくて全然大丈夫だと思っています。

義務感でやっても、大人も子どもも楽しくありませんしね。

なにより大切なのは、楽しいと思える時間を過ごすこと

その重荷になっては、どんなにメリットのある読み聞かせも意味がないと思います。

この記事を、無理をしてでも読み聞かせをする理由に使うのではなく、より楽しく読み聞かせをしたり、読み聞かせをしようか迷っている人の背中を押すのに使っていただけたらと思います。

理想は理想、現実は現実ですから!

中耳炎の注意

最後に中耳炎のあまり知られていない「読む」ことへの悪影響に触れて終わりたいと思います。

中耳炎は、子どもがかかりやすく、重症化などもあまりないので軽視されがちな病気です。

体感としては「少し聞こえにくいな」という程度です。

しかし、この「少し聞こえにくい」が物凄く大きな悪影響を生み出します。

子どもが字を読めるようになるうえで、音は物凄く大切です。

読めるようになるために、単語を分解し、音素にわけるという工程があります。

例えば「えほん」であれば「え」と「ほ」と「ん」から出来ています。

これが出来ると「え」と「ほ」と「ん」を見た時に「絵本」という単語に合成できるのです。

ちなみに音素を分解できないとしりとりも出来ません。

しりとりはまさに一番最後の音と、一番最初の音を分解して、参照する遊びだからです。

では、新しい言葉を聞いた時に、音にノイズがかかっていたらどうでしょう。

なんとなくは聞こえても、はっきり聞こえないと、どんな音素で出来ているのかなどわかりません

中耳炎の状態と言うのはこういう状態です。

せっかく日々新しい言葉を聞いているのに、それがしっかりと聞こえる子に比べ、蓄積されていかないのです

それはまさに語彙数の差に繋がります。

中耳炎の期間のハンデと言うのは、その後年齢が上がるにつれて、そのつけを払わされることになります。

中耳炎を甘く見ず、すぐに治療してあげてください。

まとめ

今回は具体的な読み聞かせの方法と、いくつかの見逃されがちな注意点についてお伝えしてきました。

  • 紙媒体の絵本を使う
  • 信頼できる人のひざの上で読み聞かせる
  • 毎日読み聞かせの時間を作る

これらを意識しつつ、ぜひ読み聞かせをしてみてください。

きっと、大人も子どもも、たくさんの新たな発見が待っていると思います。

参考文献

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