作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 出版:あかね書房
いつも遅刻をしてしまう子。
そんな子にも色々と理由があるのです。
もしかしたらその理由は、現実味のないものかもしれません。
あなたは信じてあげますか?
あらすじ
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーという男の子がいた。
日の出前に家を出て、勉強しに出かける。
その途中、ワニがマンホールから現れて、ノーマンのカバンに噛みついた。
中々離さないので、手袋を片っぽ投げると、ワニは手袋に食いつきカバンを離した。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーはワニのせいで遅刻した。
先生にワニの話をしたが、信じてもらえなかった。
「嘘をつかない」と300回書かされた。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは次の日も勉強に出かけた。
だが、途中でライオンにズボンをかじられ、破れてしまった。
木に登りやり過ごしていたので遅刻した。
先生にライオンの話をしたが信じてもらえなかった。
「嘘をつきません」と400回大きな声で唱えさせられた。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーはその次の日も勉強に出かけた。
今日は遅刻せずに到着できるでしょうか。
『いつもちこくのおとこのこー ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』の素敵なところ
- 一緒に言いたくなる名前ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー
- 信じられないような遅刻の理由
- 疑う心は自分に返ってくる
この絵本の主人公はとても長い名前を持っています。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー。
でも、語呂の良さからか、作中で何回も繰り返されるからか、つい言いたくなる頭に残る名前です。
この長い名前の繰り返しが、この絵本に言葉遊び的な面白さも与えてくれています。
そんなジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは毎日遅刻します。
その理由はとても信じられないようなものばかり。
遅刻と一言で言っても、その裏にはすごい事件や冒険があるのかもしれない。
そんな気持ちにさせてくれ、想像力が膨らみます。
きっと遅刻にもイタズラにもそれぞれ理由があるのです。
でも、先生は全く信じてくれません。
頭ごなしに叱ります。
その姿を見て子どもたちは怒ります。
「ひどい!ほんとのことなのに!」
しかし、疑い続けた先生は最後にそれが自分に返ってきます。
それを見て、子どもたちもスッキリ。
「同じこと言われてる!」
と、その皮肉のおもしろさに大興奮。
「遅刻」という一言の裏にある様々な出来事に思いを馳せ、言い続けた言葉が自分に返ってくるという皮肉を感じさせてくれる。
知的なおもしろさが詰った絵本です。
コメント