文:湯本香樹実 絵:はたこうしろう 出版:講談社
小さいかった子も、どんどんと成長し、やがて大人になっていく。
そんな子が大人になった時。
どんなことを感じ、どんな生き方をしているだろう。
子どもの未来への願いが込められた詩です。
あらすじ
あなたがおとなになったとき。
どんな歌がすきだろう。
あなたがおとなになったとき。
この木はどれほどおおきくなっているだろう。
あなたがおとなになったとき。
空はおなじ青さだろうか。
あなたがおとなになったとき。
いちばん手にとりやすいところにあるのはなんの本だろう。
あなたがおとなになったとき。
にわでトカゲをみつけたら、
やっぱりよろこぶだろうか。
にじゅうにかかった虹をみて、
どんなねがいが心にうかぶだろう。
あなたがおとなになったとき・・・。
『あなたがおとなになったとき』の素敵なところ
- いつか親の元から離れる子への想いと願い
- 子どもが自分を見つめ直す時間を作ってくれる
- 読むと両親に子どもに会いたくなる
いつか大人になり、自立していく我が子。
それは精神的にも、物理的にも。
そして、ゆくゆくは二度と会えなくなる日も来るでしょう。
そんな大人になった時のことに、想いを馳せ、想像し、願いを込めた詩が綴られています。
思いがけないことがいっぱいの人生を、森に例え、そこへ踏み込んでいく我が子を想います。
そこに込められた想いは、必ず夜明けが来て、夜明けの鳥の鳴き声が聞こえること。
その声を耳を澄まして聞いて欲しいと言うこと。
その詩には幸せの押し付けなどは一切ありません。
子どもの人生は子どものもの。
自分で選んで生きていくもの。
でも、それは前を向いて、次の日を生きるものであって欲しい。
そんな想いが感じられます。
子どもがこの詩を読んだ時、親の想いに触れるでしょう。
普段、素直に伝えられない想いや願いが伝わることもあるでしょう。
きっと、読んだ年齢によって考えることが違うと思います。
でも、どんな年齢で読んでも、今の自分や環境、これまでの道のりを見つめ直す時間になるのではないかと思います。
それは親も同じかもしれません。
これまでの子どもとの関わりを思い出したり、今の状況を見つめ直す機会時間になるでしょう。
そして、親も子どもも、なんだか無性に会ったり、話したりしたくなります。
読むと大切な人に会いたくなる。
そんな詩の絵本です。
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