かくれんぼ(4歳~)

絵本

作:種村有希子 出版:アリス館

ハラハラドキドキを楽しむかくれんぼ。

でも、一人で息を潜め、隠れることって少し怖い。

そんな見つけてもらえない不安感と、見つからなかった嬉しさが見事に表現された絵本です。

あらすじ

家の中でかくれんぼが始まりました。

ミミちゃんはかくれんぼが嫌いです。

一人で隠れるのが怖いからです。

そんなミミちゃんを見て、すみれちゃんが一緒にクローゼットの中に隠れてくれました。

でも、すみれちゃんだけ鬼に見つかり、ミミちゃんは一人になってしまいました。

ミミちゃんが体を縮めてじっとしていると、クローゼットの扉が開きました。

やってきたのはクマでした。

そして、見つけたウサギのうーちゃんを連れて行きました。

すると、色々なところからカメやゾウ、コウモリなどうーちゃんの仲間が出てきたのです。

みんなもかくれんぼをしていたのでした。

みんなはミミちゃんにも隠れ方を教えてくれました。

そして、みんなでかくれんぼ。

クマさんは一人残らず見つけてしまいました。

しかし、ミミちゃんはその中に入っていませんでした。

クマさんは言いました。

「ミミちゃんを探している鬼は別の子でしょう」と。

そのまま、みんなを連れて行ってしまいました。

ミミちゃんはまた一人です。

ミミちゃんは鬼に見つけてもらえるのでしょうか。

『かくれんぼ』の素敵なところ

  • 一人きりで隠れる不安や心細さがとてもリアル
  • 動物たちとの楽しいひと時・・・からの孤独
  • かくれんぼの心細さと嬉しさが余すところなく表現されている

ミミちゃんを通して、一人で隠れる不安さや心細さをとてもリアルに追体験できます。

きっとかくれんぼをしたことのある人なら、感じたことがあるでしょう。

上手に隠れれば隠れるほど、人の気配もせず、静かで、この世に自分しかいないような感覚。

見つからないように祈りつつ、早く見つけて欲しいとも思う矛盾した感覚。

あの感覚がとてもリアルに表現されているのです。

でも、ミミちゃんには思いがけないことが起こります。

動物たちのかくれんぼが近くで始まるのです。

一人だったミミちゃんにはどんなに楽しく、心強い出来事だったでしょう。

ただ、その分また一人になったときの孤独感はひとしおです。

寂しさが溢れてきます。

この物語の寂しさと、楽しさの強弱ある展開が、見ている人の心をハラハラドキドキ揺さぶります。

でも、最後には隠れきった時ならではの達成感もしっかりと表現されているのが素敵なところ。

かくれんぼの大変さも、楽しさも、全て味わえるのです。

上手に隠れるジレンマを、とてもリアルに感じられる。

ハラハラドキドキのかくれんぼ絵本です。

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